出版社内容情報
暴力だけに支配された、この美しき世界よ――。
ボクシング界から去ったものの闘いの熱気が忘れられない小鹿。彼にもちかけられた真の世界最強の男・ジョン・ラムアとの対決。それは、血腥くも妖しく魅力的なアンダーグラウンドファイトの世界への誘いだった・・・。
内容説明
網膜剥離を理由にボクシング界を去ったものの、戦いの熱気が忘れられずにくすぶっていた小鹿。彼のもとに、格闘エージェントである美女が訪れ、世界最強の男、ラムアとの一戦を持ちかける。それは、アンダーグラウンドファイトへの招待状だった―。闇のリングをまばゆく照らす光。血に飢えた観衆を熱狂させる野獣たちの死をかけた戦いが始まる。暴力だけがすべてを支配する、限りなく残酷で官能的な世界を、濃密に描く。
著者等紹介
大石圭[オオイシケイ]
1961年、東京生まれ。法政大学文学部卒。93年、『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文藝賞佳作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mr.lupin
35
大石圭さんの著書27冊目読了。今回の作品は今まで読了してきた大石さんの作品とはちょっと作風が違っていて、こんな作品もあるんだと正直驚いた。元プロボクサーがルール無用のアンダーグラウンドで世界最強の男と対戦をする。相手を殺すか、自分が殺されるか、ギリギリの攻めぎあい。全体的にもスピード感があって楽しむ事ができ、そしてなんと言っても毎度の事ながら、大石さんの作品らしくメッチャ読みやすかった。 ⭐⭐⭐⭐⭐2024/10/29
いっちゃん
10
格闘技には興味がなく、あまり観たことがないけど、一度は観戦したいと思わせる内容だった。命をかけた戦いは、観てるものを震わせ、興奮させるのだろう。背景が、表でなく、裏社会であるのが面白かった2014/11/06
大福
6
久しぶりに大石先生の作品を読んだ。細かい技巧を駆使するというよりも、圧倒的な熱量で書き上げた作品という印象。アンダーグラウンド格闘技のチャンピオンに挑む日本人格闘家の闘いを描いている。ホラー文庫から出ているが、全くホラーではないが、闘いにかける登場人物の狂気は少し怖いかも。刃牙とかが好きな人はハマるだろう。細かいことは気にせず一気に読むべき作品かな。2017/02/18
黒蜜
5
面白かったです。他の大石作品とは毛色が違う、まともな作品。大石作品では常連の異常者もここではリングの上で命をやりとりすることで「生」を感じるというもの。格闘技ものにありがちなキャラクターでそこには哀しさすら漂う。ラムアとファラの関係はまぁ大石的ではある。姉のエピソードがクライマックスでラムアを殺さなかった理由になるのだろうが、無くても良くて、むしろラムアや三浦、原田の掘り下げが欲しかったか。特にラムアと三浦。あと、カジノで出会った売春婦は何かの伏線かと思いきや、何もないんだね。面白そうな女の子だったのに。2013/02/12
たろ
4
内容とは関係なく、相変わらず綺麗な印象をうける文章です。殺伐とした物語をこんな風に書けるのはやはりスゴいと思います。2013/06/07