出版社内容情報
他人の家庭に入り込んでは攪乱し、強請った挙句に消える正体不明の女〈サトウミサキ〉。別の焼死事件を追っていた刑事の元に15年前の名刺が届き、刑事たちは過去を探り始め、ミサキに迫ってゆくが…。
内容説明
40歳独身の尚之は、お見合いパーティーで“サトウミサキ”と出会う。彼女の虜となり逢瀬を重ねる尚之だが、結婚の話が進むにつれてミサキは不審な行動を見せ始める。一方、若手刑事の宮下は、一匹狼のベテラン・安井の相棒として、焼死事件を追っていた。単純な火災事故のはずが、安井だけは裏に潜む事件を確信しており―。関わる者を必ず破滅させる女、その正体とは?全ての謎が繋がるとき、あなたを再び衝撃が襲う!
著者等紹介
伊岡瞬[イオカシュン]
1960年東京都生まれ。広告会社勤務を経て、2005年『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しデビュー。16年『代償』で啓文堂書店文庫大賞を獲得し、同書は50万部を超えるベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
205
★★★★★★★★★☆悪女の本性を圧倒的リーダビリティで描いたクライム・サスペンス。関わった男を虜にし、破滅させる謎の女・ミサキ。時を同じくして河川敷で発見された身元不明の女性遺体。別の焼死事件を追う刑事・安井は、その裏に15年前のある出来事との関連を見出すが…。短編集かと思うほど独立した4つのエピソードが、時系列を前後しつつある一点へ収束していく過程は見事。役場の記述があまりに前時代的すぎて「本当に取材してる?」とは思ったものの、登場人物のクズさ、もどかしさ、理不尽さで読者を惹き込む手腕は伊岡瞬の真骨頂。2020/11/17
あきら
158
始めは分かりやすく掴んで、中盤で?を付けてラストまで持っていく。飽きさせない展開でした。 犯人が誰かというより理由が暴かれていくところ(掘りの深さ浅さはひとまずとして)に重きがおかれているところが個人的には良かった。タイトルがしっくりくる物語でした。 2020/10/23
ma-bo
148
面白かった。前半は謎の女性「サトウミサキ」が章ごとの視点の人物の前に現れる。何かが起きてるのだが全体像がつかめない。後半は刑事中心の目線から話が進む。事故か事件かわからない焼死体から様々な事が繋がって行く。ページを捲る手が止まらない。最後は..続編はあるのだろうか.. 2020/12/03
まさきち
141
サトウミサキという謎の女性に接点を持つ人々の視点で語られる章が続き、徐々に過去に起きたある事件の真相が明らかになっていく。その展開が非常に巧みで一気読みでした。それにしてもミサキの動きがあまりにも見事で、ここまで周囲の人々を誑し込む能力には恐怖さえ覚えました。2023/09/13
のり
127
「サトウミサキ」とは何者なのか?次々と相手の懐深く忍び込み、幸福の絶頂から社会的地位を著しく落とす稀代の悪女。美人に弱い馬鹿な男達。と思いきや狙いはそんな単純な事ではなかった。バラバラだったピースがハマりきった時の衝撃は大きい。過去の清算はそう容易くない。同情する点もあるが「サトウミサキ」は明晰であり壊れている。2020/12/10
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