内容説明
政府と電力会社に追随した根拠なき「原発再稼働容認」、カルロス・ゴーン事件で改めて露見した世界的に特異な「人質司法」、参加者の人権をないがしろにした「裁判員裁判」、国家が犯人1人に責任を押し付ける「死刑制度」…閉ざされ歪んだ司法の世界にメスを入れ、改善への道を示す!
目次
プロローグ―日本の裁判官は、なぜ正義を全うできないのか?
第1章 個人としての裁判官とその問題
第2章 官僚・公人としての裁判官
第3章 裁判官の仕事とその問題点
第4章 裁判官の本質と役割―儀礼と幻想の奥にあるもの
第5章 戦後裁判官史、裁判官と表現
第6章 法曹一元制度と裁判官システムの未来
エピローグ―檻の中の裁判官
著者等紹介
瀬木比呂志[セギヒロシ]
1954年名古屋市生まれ。東京大学法学部卒。2年の司法修習を経て79年から裁判官。2012年明治大学教授に転身、専門は民事訴訟法・法社会学。在米研究2回。『ニッポンの裁判』により第2回城山三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
26
檻の中の裁判官 なぜ正義を全うできないのか。瀬木 比呂志先生の著書。いくらお勉強ができるからといって、いくらエリートの裁判官だからといって、間違いを起さないとは限らないし、エリート意識が強い裁判官だからこそ間違いを起こしてしまうことだってあるはず。悪い裁判官、ダメな裁判官には、しっかりとダメという烙印を押すような制度が必要。特権階級意識にまみれた非常識で上から目線の裁判官が多数派だとは思わないけれど、裁判官も政治家のように投票で決められる日が来るのかも。2022/06/27
ヒロセ
6
朝ドラ「虎に翼」や「エルピス」、NHKスペシャル「法医学者たちの告白」をきっかけに、日本の司法制度について知りたくなり手に取った。裁判官たちの働き方や暮らしぶりなど興味を持ちやすい話題から入り、権力補完機構と化している司法制度の問題点を具体的に挙げ、最後は解決策も提示している。冤罪事件や死刑制度を考えるヒントにもなった。2024/07/28
シンショ
4
タイトルにある「檻」とは裁判官が属するムラ社会の事を意味している。本来、裁判官は上下関係も横のつながりにも忖度することのない独立した存在でなければいけないという著者の考えが伝わる。一方で国民にも裁判に対する関心をもっと持つべきだと感じた。私自身もメディアを通じた有罪・無罪という結果だけを見て、深く裁判内容を知りもせずに色眼鏡で判断していたことは否めない。どのような背景があってその判決が出たのかということを、冷静に分析しなければいけないと改めて思う。2021/10/03
@
3
2021年3月10日初版発行2021/10/02
aochama
3
現代日本の裁判官が抱える問題点を各方面から鋭く指摘、司法制度の危機を訴えます。打開するには法曹一元と裁判官の公平な選抜が必要と説きます。 、一般市民、国民の基本的方向性の理解とコンセンサスを得る必要があるとします。かなり深い内容でした。2021/05/06
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