出版社内容情報
戦争の記憶が鮮明に残り,アメリカの配給物資で暮らし,手つかずの自然に囲まれていた奄美.シンゾ少年は,「死の棘」に満ちた家を飛び出し,悪ガキたちと禁断の果実を貪っていた.少年少女群像を軽妙に描いた回想掌篇集.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のんの
3
戦後の奄美大島に東京から引っ越してきた主人公の話。なんというか、すごい冷静に物事みてるというか、ちょっとさめてるというか…なんかドイツの統一の時の話を読んだときも思ったけど、沖縄が日本に戻るのも、現地の人にしてみたら手放しで喜んだわけじゃない複雑な心境もあったんだろうなと感じた。沖縄や奄美大島行ったことがないけど、ここに出てきたような方言や空気を感じたいので、落ち着いたらちょっと旅行してみたいなぁ~と思った。2021/02/12
Gaku
1
今の子どもたちとは全く違う、子どもたちの生活ぶりが、よーく描かれています。的確な表現が見つかりませんが、時代が異なるとはいえ、やはり、子どもそのものの純真な姿のように思えます。ただ、それを書いている作者の精神の複雑さが、この作品を読み終えた後、私の心に、何か重たいものを残して行来ました。でも、今は作者がいい子供時代だったと思えているのは救いです。2014/01/09
fuchsia
0
「死の棘」で傷ついた子供たちがどうなったかという後日談にでもなるのでしょうか。家族再生はどうも幻想だったようです。