2017年03月14日

紀伊國屋書店ベストセラー大賞、キノベス!2017、紀伊國屋じんぶん大賞2017 贈賞式および記念講演の開催について

株式会社紀伊國屋書店(代表取締役会長兼社長 高井昌史)は、2017年3月23日に、紀伊國屋書店ベストセラー大賞、キノベス!2017、紀伊國屋じんぶん大賞2017の贈賞式、ならびに紀伊國屋じんぶん大賞受賞記念講演 加藤陽子さん「歴史(学)にできることは何か」を開催いたします。

紀伊國屋書店では、売上額をはじめとして紀伊國屋書店に貢献いただいた著者・出版社を表彰する「紀伊國屋書店ベストセラー大賞」、紀伊國屋書店のスタッフが自信を持っておすすめする30冊の本を選ぶ「キノベス!」、そして読者の皆様とともに優れた人文書を選ぶ「紀伊國屋じんぶん大賞」を制定し、毎年、表彰しています。

この3つの賞の贈賞式、ならびに紀伊國屋じんぶん大賞2017で大賞に選ばれた『戦争まで――歴史を決めた交渉と日本の失敗』の著者・加藤陽子さんの記念講演を下記日程で開催いたします。

 ●日時:2017年3月23日(木)19:00開演(18:30開場)

 ●会場:紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店 新宿本店4F)

 ●プログラム:①紀伊國屋書店ベストセラー大賞 贈賞式
         <著者部門>新海誠
         <出版社部門>株式会社KADOKAWA
        ②キノベス!2017 贈賞式
         1位『翻訳できない世界のことば』エラ・フランシス・サンダース(創元社)
         2位『ハリネズミの願い』トーン・テレヘン(新潮社)
         3位『蜜蜂と遠雷』恩田陸(幻冬舎)
        ③紀伊國屋じんぶん大賞2017 贈賞式
         大賞『戦争まで――歴史を決めた交渉と日本の失敗』加藤陽子(朝日出版社)
        ④紀伊國屋じんぶん大賞受賞記念講演
         加藤陽子さん「歴史(学)にできることは何か」

紀伊國屋じんぶん大賞受賞記念講演「歴史(学)にできることは何か」
加藤陽子(歴史学者・じんぶん大賞受賞 朝日出版社刊『戦争まで』著者)

過去を正確に描きながらも、未来を創り出すお手伝いをできるのが、歴史学の強みです。
 今という時代は、これまでさまざまな理由から封印されてきた問題が、あたかもパンドラの函が開いたかのように、噴出してきた時代だといえます。焼け跡から戦後が始まった、その1945年から1946年にかけての時期に、我々の父祖が先送りにし、将来の叡智に委ねようとした問題群がいったい何であったのか、それを真剣に考えるべき時が来ているのでしょう。
  例えば、天皇の退位問題をとってみましても、主権の存する日本国民の総意に基いて決められる象徴天皇の地位とは、どのようなものであるべきでしょうか。あるいは、国民の総意とは、どのように測られるべきものなのでしょうか。
 古代ギリシアでは、過去と現在は、我々の前方にあって、見ることができるけれども、未来は、我々の後方にあって、見ることができない、と考えられていたといいます。ならば、未来は前方にはないのだと思い定め、歴史学の視点からものを見る観方をお話しできればよいと考えています。

加藤陽子 (かとう・ようこ)
1960年埼玉県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。1989年、東京大学大学院博士課程修了。山梨大学助教授、スタンフォード大学フーバー研究所訪問研究員などを経て現職。専攻は日本近現代史。
2010年に『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)で小林秀雄賞受賞。
著書に『模索する1930年代』『徴兵制と近代日本』『戦争の日本近現代史』『戦争の論理』『戦争を読む』『満州事変から日中戦争へ』『NHK さかのぼり日本史(2)昭和 とめられなかった戦争』『昭和天皇と戦争の世紀』などがある。