内容説明
下総の狐狩り・稲荷藤兵衛は、凡ての嘘を見破る〈洞観屋〉としての裏の渡世がある。ある日藤兵衛に持ち込まれた依頼は、老中・水野忠邦による大改革を妨害する者を炙り出すこと。敵は、妖物を操り人心を恣にする者たち。依頼を受けた藤兵衛は、江戸で化け物遣い一味と遭遇する。やがて武蔵晴明神社の陰陽師・中禪寺洲齋と出会い、憑き物落としに立ち会うこととなるが――。文学賞を三賞受賞した伝説的シリーズ、感動の最終巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
シリーズ最終巻になります。1000ページを超すボリュームながらも一気読みしてしまいました。7編の物語はそれぞれ独立した物語ながらも、全体を通して1つの物語になるというような趣向が伺えました。また、過去作に登場した人々に会える嬉しさとこれで終わりかという寂しさの感情が湧いてきますが、有終の美を飾るのには相応しいですね。時代小説に妖怪を絡めた百物語。面白かったです。お疲れ様でした。2026/06/01
APIRU
10
邪心野心が闇に散る、最後の百物語。シリーズ最終巻は、これまで以上に全体をとおしてひとつのストーリーという趣向が強いような印象でした。冥府へ繋がる井戸と皿屋敷、無惨な赤子殺しの旅籠。かつての怪しい噂が蘇る『於菊蟲』『柳婆』に始まり、化け物遣い達を葬り去ろうとする動き、国を作り替えようとする企て、そして宴の成れ果て「野宿火』。どれもストーリーの面白さは群を抜いており一心不乱に読み進めましたし、終わりに近づくにつれ胸に迫ってくる万感も言葉に尽くしがたいものがありました。詠嘆を禁じ得ない、最後にして最大の百物語。2026/05/29
ゆうこ
9
『…国力とは民の暮らしの豊かさだ。それこそが国を護る力となるのだ。』貧しさから子供を殺す、身体の弱い子に人の肝を食わせる親、我欲に利用しようとする親。その悲しみを暴いていくのが、親を知らない子・又一たち、そして狐の子・陰陽師。欲にくらんだ富久への陰陽師は言う「この国に暮らす者を、ただの一人も取り零すことなく生かす、それが望まれる国の姿ではないですか。才覚のあるなしなどと関係なく暮らしが成り立つように施すーどんなに難しかろうと、そうあろうと努力する、そういう仕組みを作ることが政なのではないですか」 2026/05/23
ソラ
7
【読了】B 昨年、ノベルス版で読了したところだったが文庫版出版ということで再読ともいえる。2回読んでもまだまだ読み足りない気がする。というか過去作もまた読みたくなってきた。2026/05/04
リプリー
4
完璧な大団円にしてシリーズ最高傑作ではないだろうか。これまで明かされていなかった謎がピタリとハマる快感に満ちながら、キャラクターの見せ場も完璧。個人的に「累」での林蔵の登場、決め台詞にはしびれた。「覘き小平次」や「数えずの井戸」まで出てきたときには驚いた。 もちろん畳み方はすごいのだが、本作の魅力は洞観屋&化け物遣い&憑き物落とし、そして悪役の対立構造からくる物語的な面白みにある。 クライマックスの高鳴りは昔「魍魎の匣」を読んだ頃を思い出したほどだった。あと、ストレートでアツいメッセージにも感動した。2026/06/08
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