内容説明
絵師見習いのおふゆは、死絵に己の道を見出すも、自身の描く絵が浅かったと悩み始めていた。そんな中、おふゆのもとへ、幼い頃に世話になった旅芸人のお京がやってきた。心残りがあり、江戸を訪れたという。お京は、再会を喜ぶおふゆをある歌舞伎役者のもとへ連れて行くが……(「子福長者」)。正反対の生き方だった亡き息子へ抱く父の特別な想い、災厄による不条理な別れ――離別の深い哀しみに寄り添い、おふゆは遺された人々と死者のかけがえのない縁を丁寧に編んでいく。ままならない世を歩む江戸の人々の深い人情が染み入る、大好評シリーズ、円熟の第五巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
135
絵師見習いのおふゆ。死絵に己の道を見出しながら、ここにきて壁に当たったというか悩み始めた。悩みがあるということは、それだけ絵師として真剣に志してる証。そんなおふゆに、思いがけない旅芸人のお京との再会、ころりという災厄、いろいろあったが、自分の絵について見つめ直すきっかけにはなったことは間違いなしだね。でも、あまり多くは語らないけれど、師匠の国藤の言葉が、おふゆには一番効いたかもしれない。おふゆは師匠に恵まれて良かった。兄弟子の岩五郎の存在も大きい。出会いもあれば別れもある。とくに死別というのは辛いよね。2026/01/27
nyanco
28
前作では大地震の後、暮らしを立て直すための仕事が多く、死絵の登場がなく、おふゆ自身も、未熟な自分が死絵を描いてよいのかと迷いがあった。やっと暮らしが落ち着いてきたかと思いきや、コロリが江戸に蔓延、死者続出。身近な人を亡くし、死に直面し、思い悩むおふゆ。以前、死絵を描いた團十郎の父、海老蔵との出会い、そして海老蔵の死絵を描くことに…おふゆは葛藤する。兄弟子・岩五郎も自身の武将絵がコロリ避けとして利用され、自信の仕事を恥じていた。今回、岩さんの悩む様子の描きも良かったです。 2026/02/15
onasu
14
おくり絵師・おふゆの5巻目。前巻では安政地震、今巻では幕末の世情不安に加えて、ころりの流行と災い続きも、幸い、一門は無事だったが、おふゆには上達したが故、死絵への迷いが生じていた。 そんな中、同郷の言葉になぐさめられた女将の訃報には、思いが溢れて描けなかったが、歌舞伎の第一人者の訃報には、前もっての依頼でもあって、国芳に画風も認められる。 初期の頃の成長譚は脱して、次の段階になったようだが、災害もあって、やや視界不良。次巻では、名前のあった戯作者が登場するのか、新展開があるのか、楽しみにしておきたい。2026/02/23
陽ちゃん
10
シリーズ5作目。立て続けに身近な人を亡くし、まだ若い自分が死絵を描いていいのか悩むおふゆに対する、佐野屋の言葉「大地震、ころり。亡くなったのは老いた人ばかりではありませんよ。本来、死とは誰にでも訪れるものです。早いか、遅いか。それだけのことです」が印象的でした。その佐野屋から依頼された死絵を描いたことによって一皮剥けた彼女のこれからの奮闘が気になります。2026/02/15
うさぎや
7
5巻。悲しい別れが多すぎる……2026/01/19




