内容説明
渡良瀬川の河川敷で相次いで発生した死体遺棄事件。十年前の未解決連続殺人事件の手口に、悔恨を繰り返すまいと群馬・栃木両県警は必死の捜査を続け、三人の容疑者のうち一人について事件との関連が強く疑われる事実が判明する。しかし、ほか二人の容疑者の周辺にも怪しい動きが……。容疑者の恋人、独自に動く元刑事、被害者遺族――人々の想いの果てに見える真実とは。人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説。下巻。
目次
第六章 決断
第七章 沈黙
第八章 決壊
終章 残響
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiro
76
結末を早く知りたくて下巻も一気読みだった。実際捜査に当たる両県警の刑事達以外に、十年前の事件捜査にあたった元刑事の滝本、自ら犯人を捜し続けていた被害者の父の松岡、さらに若い新聞記者の千野と犯罪心理学者の篠田という四人が登場したが、その中には読んでいてイライラするような捜査の邪魔をしたり、一方で警察にはできないことで捜査に協力したりと“いい味”を出していた。それに対する刑事達と“個性的な”容疑者との直接対決も興味深く、最後の最後にたどり着いた結末は長編に相応しい内容であり、改めて警察小説の面白さを感じた。2026/01/04
森オサム
64
下巻読了。圧巻の群像劇であり犯罪小説だった。これほどの重大犯罪は多くの人々の人生を狂わせる。被害者遺族、被疑者の恋人、元刑事は、もう自分の信じた物以外は受け入れない。そうでないと自分が保てない、ある種の狂気の中でしか生きて行けない。そして犯罪者は、なぜそんな事をしたのか、説明する責任を感じていない。そんな極限の世界では、いくら命を削っても仕事でやっている刑事や新聞記者にその心中を推し量る事は出来ないのかも知れない。同一犯か模倣犯か、この結末も我々外側の人間は受け入れるしか無いのだ。素晴らしい作品でした。2026/01/27
菜穂子
53
連続殺人事件の捜査が行われている中、容疑者として上がった3人の人物。この3人をどう事件の着地点に持っていくのか?下巻を手に取った時点での興味はそれ一点だった。工場でトラック運送を担う期間工、引きこもりの多重人格の青年、犯罪歴多数の薬中。それぞれを追う刑事たちの地道な捜査は先日の京都の事件を彷彿とさせる。警察の内情、捜査の進め方、人権問題も冤罪を生まないよう慎重を極め事件解決へと進む。事件の着地点はまさかの唸らされる結果だったが、中盤からは一気に引き込まれてた。やっぱり奥田さん、うまいなぁ。2026/05/12
もえ
45
警察の地道な捜査で、三人の容疑者のうち一人の人物の犯行が濃厚になる。ついに逮捕に踏み切るが…。十年前に娘を殺され執念深く犯人を追う父親や、粘り強く取材を続ける新米女性記者、体を張って捜査する退職した刑事、容疑者に惚れたスナックのママ等、周辺の人物の存在感が際立っており、心情もリアルに描かれ、最後まで飽きさせない筆力は見事だ。大企業の工場誘致で出稼ぎ外国人も多い北関東という地域の特色もよく出ている。事件の真相にはそう来たかーと思ったが、動機も曖昧で、本当に大変なのはこれから行われる裁判なのかもしれない。2025/12/24
remedy
41
渡良瀬川で起きた連続殺人事件を群馬、栃木の両県警で捜査する重厚な警察小説。 小説自体は作者お得意の群像劇仕立てになっており、「最悪」「邪魔」「無理」といった作品を夢中で読んでいた頃が思い起こされうれしくなった。 捜査が難航する中、中盤以降から解決に向けストーリーが加速。 解決編は一方的で淡白との意見も出そうだが、本作は謎解きの面白さや社会的主張を意図した作品ではなく、あくまで人間にスポットを当てた群像劇であり、結末よりも過程の描写や会話を堪能することがこの手の小説の楽しみ方なのだと思う向きには大満足。2026/03/16




