内容説明
歴史に埋もれた鳥たちが、いま羽ばたく。
大正十三(1924)年七月、鳥取県鳥取市──。
主人公の田中古代子は、女性の地位向上を目指し「新しい女」の潮流を訴える女流作家である。本格的に作家として活動するため、娘の千鳥とともに鳥取から東京に引っ越しをする予定を立てていた。移住直前のある日、古代子は千鳥と共に、活動写真「兇賊ジゴマ」を観るために鳥取市内の劇場「鳥取座」に向かう。ところが観劇中、場内で火事が発生。取り残された古代子と千鳥が目にしたのは、煙につつまれる舞台上に立つ「本物」の「兇賊ジゴマ」であった。逃げようとする二人の目の前で、ジゴマはひとりの男を刺殺し、逃亡する。命からがら鳥取県気高郡浜村の自宅に逃げ帰った古代子と千鳥であったが、一息つく暇もなく、再び謎の人物に襲われるのだった。
果たしてこの世の中に、本物のジゴマなどいるものだろうか……? 謎は思いがけない事態へと発展していく。
鳥取出身の作家・田中古代子をモデルに、友人の女流作家・尾崎翠や鳥取に流れてきた過激アナキスト集団「露亜党」、関東大震災など、大正期を鮮やかに描く歴史活劇ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
seba
16
舞台は大正時代の鳥取。女性の自立を掲げる潮流が盛んになり、女流作家として評価され始めた田中古代子。彼女は娘と活動写真すなわち無声映画の観劇中、火災に巻き込まれた挙句殺されかける。そこには思想犯の影が。田中古代子および娘の千鳥、並びにその友人の尾崎翠などが実在の人物であり、後にどのような生涯を遂げたかを知ることになる最終章が本編よりも印象的。そう思えるほど物語としては頼りない(乱歩賞受賞作であることを踏まえると尚更)。最後にそれらの史実を知ったことで、ここまでの物語に儚い思いを馳せる余地がようやく生まれた。2026/01/26
syuji
4
表紙デザインが気に入り読んでみた。関東大震災や大正デモクラシー、大正ロマン、治安維持法など価値観の多様化が進む大正時代の地方都市(鳥取)を舞台にしたリアルフィクションミステリー。嫉妬や痴情といったよくある?がキッカケだが献身的?代役が居たりの二重トリックが面白かった。2025/11/03
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