内容説明
バブルの発生と崩壊,深まる政治不信,そして高まる社会不安.列島が酔いしれた高度成長の夢のあと,何が待ち受けていたのか.崩れゆく冷戦構造のなかで,この国は次第に周回遅れのランナーとなっていったのではないか…….60年代半ばから現在まで.政治・経済・社会・家族……すべてが変容し崩壊していく過程をたどる.
目次
はじめに
第1章 左翼の終わり
1 あさま山荘事件と一九七〇年代
2 「運動」する大衆の終わり
3 ベ平連とウーマンリブ、反復帰論
第2章 豊かさの幻影のなかへ
1 高度経済成長の頂点で
2 消費社会と都市の若者たち
3 重厚長大から軽薄短小へ
第3章 家族は溶解したか
1 変容する日本人の意識
2 郊外化と核家族の閉塞
3 虚構の世界へ
第4章 地域開発が遺したもの
1 反公害から環境保護へ
2 地域開発とリゾート開発の結末
3 農村崩壊と地域自治への模索
第5章 「失われた一〇年」のなかで
1 震災・オウム・バブル崩壊
2 国鉄民営化から郵政民営化へ
3 拡大する格差
第6章 アジアからのポスト戦後史
1 企業の海外進出と産業空洞化
2 「海外」の経験・「日本」の消費
3 「戦後」の問い返しと日米関係
おわりに
あとがき
参考文献
略年表
用語リスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
80
同時代史が面白くなるのは中年の一症状かと思うのですが、その背景として、40を過ぎると政策や社会制度というものの威力が分かって来るから、かも知れません。たとえば「女性が活躍できる社会」といくら叫ぼうが、保育園が十分なければ全く無意味なわけで。円高と低金利がバブルや、海外投資による産業の空洞化を招いたというテーゼや、列島改造論をはじめとすると国づくりのドラマトゥルギーなど、読み応え満載です。ところでコロナ以降、都市の再デザインが議論されるのかなあと思いますが、今のところ政府からのネタはワーケーションだけかな。2020/08/23
k5
49
戦後と平成について本気出して考えてみるフェア①。グローバリズムがひとつのキーワードで、最近YouTubeばかりみている人が安易に批判するキーワードだなあ、と。2009年に書かれたこの本では、グローバル化が格差社会や自然環境、地域社会に与える弊害が語られているのですが、いやむしろ当時グローバル化に加担していた層が、それに不快感を示すようになったのが令和の時代なのではないか、という気が。ここをツッコむだけだと自分が安易になりそうなので、私にとっても遠い存在である、70年代左翼の「自己批判」を掘ってみたいです。2025/09/20
かんがく
14
犯罪者(永山則夫、宮崎勤、酒鬼薔薇聖斗)、テロ組織(連合赤軍、オウム)、店舗(コンビニ、パルコ、ロードサイド)など様々な尺度から、60〜00年代の日本社会の変容を見る。国際化と新自由主義が進む一方で、地方や家族の崩壊が進む。少し古い本だが、現代もこの延長として捉えられる。2021/02/25
fseigojp
14
1970年を境に、実用より見た目が重視され、実態経済が大きく変わっていく2020/12/13
coolflat
14
高度経済成長末期以降(=ポスト戦後期)を扱っている。内容は社会史中心で、連合赤軍・ベ平連・ウーマンリブ・沖縄の反米基地闘争・水俣病など公害病訴訟といった社会運動にスポットを当てているのが目新しい。ポスト戦後において、自民党の保守政治は、池田の「所得倍増」〜田中の「列島改造」までの福祉国家型の利益配分政治から、中曽根〜小泉までの「民活」と「規制緩和」を軸にした新自由主義的なポピュリズムへと変身する。この政策転換は、集票マシンとなることと引き換えに地方農村に利益を還元してきたシステムの破綻を意味した。2016/06/18
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