内容説明
父フョードル殺害事件の裁判が進展する一方で、カラマーゾフの兄弟たちはそれぞれに転機を迎えていた。
やがて、あの夜の真相が明らかになる。
彼らは、ロシアは、そして人類の運命は――「現代の予言書」として読み継がれてきた一大叙事詩はついにクライマックスへ!
好評の注解付き江川訳、完結(全四巻)。
〈解説〉頭木弘樹
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ディーン・ウィンチェスター
6
結局のところ陪審員の評決は何だったのか。カラマーゾフの兄弟を最初から通しで通読するのは三度目だけどいまだにどう読んだものか。知識人で埋め尽くされた傍聴人の中で場違いにも思える百姓を中心とした一般大衆たる陪審員の面々。農奴解放令と裁判制度の改革で得られた新しいロシアを滑稽に描いてみせたのだろうか。弁護人のフェチュコヴィチ(彼の名を敢えて日本語に訳すなら皮肉にも「アホ田さん」となるらしい)の切れ味鋭い反駁もあっさりと陪審員に却下されるという喜劇をもってミーチャを試練の道に突き落としたかったのだろうか。2026/04/27
植岡藍
4
何度目かのカラマーゾフ。読めば読むほど解像度が増していくのがカラマーゾフのすごい所だ。部分が全体を作り、全体が部分を作る。弁証法的ドストエフスキーの思想が、裁判の形で展開されるのも面白い。最後の最後まで凄まじいが、ラスト1章のおかげで読後感は爽やかで、長い物語がまるで人生の一瞬であったかのような、巨大な何かに触れたような感覚が残る。これからも折に触れて読むだろう。2025/09/15
読書三餘
3
まだ科学が今日ほど発展を遂げていない時代の文学だと念頭に置いておくこと以外、読者に必要な準備は無く、要するに実質は無用。文学史上、本作が思想的論争小説の代表格とは難なく首肯できる。血痕によるDNA鑑定は無論、写真技術も未発達の当時、公判では証人尋問が重要視される。主として医師の診断があるも、譫妄症やアフェクトは科学的根拠に乏しく、証言と同等の判断材料に過ぎない。だが、依然として古典的たりえたこの状況こそ、かえって貴重千万に思えるのは私だけか。さて荒涼たる原野、農奴制が前まで残存していた北方と所かわり、→2025/12/30
NAGISAN
3
何んとか読了できた。江川訳は、良いか悪いかは別として、読みやすいことを実感した。「誤れる裁判」は現在の裁判かと錯覚させられる内容。「兄イワン・フョードロヴィッチ」は大審問官との関連での心的描写が欲しかった。「カラマーゾフ的」と「カラマーゾフ万歳」も分からずじまい。しかしながら、登場人物がこれほどまでに生き生きと表現される表現力は素晴らしい。何度読んでも飽きないでしょう。帝政時代と現在は異なるものの、ロシアないしロシア人を理解するうえでも有益。2025/10/10
with plants
1
登場人物が皆悩みを抱え悶え苦しむ、その心理描写がリアルすぎて、ノンフィクションかと思うほど。 良心の呵責の表現が圧倒的で、登場人物と一緒になって考え悩んだ1ヶ月間の読書体験だった。 比較していないが、江川卓訳が読みやすく違和感なく読めた。2026/01/13
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- 和書
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