内容説明
父フョードル殺害事件の裁判が進展する一方で、カラマーゾフの兄弟たちはそれぞれに転機を迎えていた。
やがて、あの夜の真相が明らかになる。
彼らは、ロシアは、そして人類の運命は――「現代の予言書」として読み継がれてきた一大叙事詩はついにクライマックスへ!
好評の注解付き江川訳、完結(全四巻)。
〈解説〉頭木弘樹
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
植岡藍
3
何度目かのカラマーゾフ。読めば読むほど解像度が増していくのがカラマーゾフのすごい所だ。部分が全体を作り、全体が部分を作る。弁証法的ドストエフスキーの思想が、裁判の形で展開されるのも面白い。最後の最後まで凄まじいが、ラスト1章のおかげで読後感は爽やかで、長い物語がまるで人生の一瞬であったかのような、巨大な何かに触れたような感覚が残る。これからも折に触れて読むだろう。2025/09/15
読書三餘
1
まだ科学が今日ほど発展を遂げていない時代の文学だと念頭に置いておくこと以外、読者に必要な準備は無く、要するに実質は無用。文学史上、本作が思想的論争小説の代表格とは難なく首肯できる。血痕によるDNA鑑定は無論、写真技術も未発達の当時、公判では証人尋問が重要視される。主として医師の診断があるも、譫妄症やアフェクトは科学的根拠に乏しく、証言と同等の判断材料に過ぎない。だが、依然として古典的たりえたこの状況こそ、かえって貴重千万に思えるのは私だけか。さて荒涼たる原野、農奴制が前まで残存していた北方と所かわり、→2025/12/30
NAGISAN
1
何んとか読了できた。江川訳は、良いか悪いかは別として、読みやすいことを実感した。「誤れる裁判」は現在の裁判かと錯覚させられる内容。「兄イワン・フョードロヴィッチ」は大審問官との関連での心的描写が欲しかった。「カラマーゾフ的」と「カラマーゾフ万歳」も分からずじまい。しかしながら、登場人物がこれほどまでに生き生きと表現される表現力は素晴らしい。何度読んでも飽きないでしょう。帝政時代と現在は異なるものの、ロシアないしロシア人を理解するうえでも有益。2025/10/10
ゴリラ爺
0
ドストエフスキーの最高傑作と評される『カラマーゾフ』の最終巻。発狂したイワンと衰弱していくスメルジャコフ、拘留されたミーチャをめぐる恋の三角関係×2の行方。別訳で読了済みだったが、江川卓の訳文は流れるようで読みやすかった。これがおそらく決定版だろう。それにしても、やはりリーザは全ドストエフスキー作品の女性の中で最も活力があって呪われていて好きだ。彼女の中にはカチェリーナの「うわずり」とグルーシェンカの悪女性、両方の萌芽が見られる。書かれなかった続編で彼女がどちらの方へ行ったのかを追えないのが残念だ。2025/09/04
よよよ
0
日本に生まれてこの本を真に楽しめる人は本当にたくさんいるのだろうか。 カラマーゾフ的気質は日本人にも残念ながら馴染み深いものだが、対立するキリスト教的美徳なんかはなかなか字面からしか追えないのが辛いところ。 また数年後別訳でも読んでみてどうなるかな あんなに長かったのに終わってしまうと喪失感ある2025/11/14




