内容説明
江戸は神田の袋物屋・三島屋は風変わりな百物語で知られている。語り手一人に聞き手も一人。話はけっして外には漏らさない。聞き手を務める小旦那の富次郎は、従妹であるおちかのお産に備え、百物語をしばらく休むことに決めた。休止前最後に語り手となったのは、不可思議な様子の夫婦。語られたのは、かつて村を食い尽くした〈ひとでなし〉という化け物の話だった。どこから読んでも面白い! 宮部みゆき流の江戸怪談。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
84
三島屋シリーズ第八弾。中編三編収録。宮部さんの作品の中でも表題作は異色だろう。所謂、パニックホラーと言おうか。死地を脱するも怪異の原因が分からない。初めは「件」を描いたと予想したが違った。人間の悪意等の感情の描写が少ないから、人間の善意の輝きが薄く感じられてしまい。「賽子と虻」、「土鍋女房」は慣れ親しんだ宮部さんの作風がある。SFの「さよならの季節」もあるように、新しい作風に挑戦されているのではと思う。宮部みゆきさんの作品は20年以上読み続けている。これからも変化も含め、楽しみに新作を追い続けたいと思う。2024/08/03
mako
77
色合いの違う3話と三島屋の日常話。ストーリーというより、一文一文の言い回しのうまさ、面白さに引き込まれて読み進めていたら、あっという間にお話の終わりとなっていた。2024/07/09
眠る山猫屋
74
富次郎の飄々とした優しさが物語の悲劇を和らげてくれる。おちかちゃんの時には、どうしても重たい余韻を引きずったが、富次郎は何とか相手の心の陰に寄り添おうとする心持ちがあって、読み手もまた、少し救われている気がする。今回は土着の神様すら蔑ろにする人間の理不尽、神とも魔物ともつかない存在と関わると云う事、そして異界と言えども、苦しむ人々を見捨てなかった人々の矜持。表題作は感染する死人鬼の危機に曝された異界の村を助けに向かう男たちの話。一人でも多くの命を救う、その誇り高き戦い。そこにも無常の風は吹くのだけれど。2024/09/22
ふう
72
このシリーズの1冊目「おそろし」を読んだのは16年前。まだ読メに出会っていないときでした。それから8册。老いて体力が衰えてきているからでしょうか、内容の重さに圧倒され、結末に向かう途中の恐ろしさに疲れてしまいました。でも、語りに来た人の心根のやさしさと受けとめる富次郎の素直さで、話が終わったあとはおだやかな気持ちになれます。兄も二人の女中も富次郎を温かく見守り、よけいに話の中の苦しみ悲しむ人々が不憫になります。わずかな心の隙に入り込む魔物。その魔物から人を守るのは、人を思いやり、何が大切かを考える力ですね2025/01/31
ピース
61
今回は3つ共ちょっと切ない話だった。それでも内容はどれも濃い。小旦那が最後に描く絵に迷うのも分かる。そして瓢箪古堂に嫁いだおちかが間もなく出産するし、伊一郎が三島屋に帰ってくる。今後の展開も楽しみ。2025/02/16
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