- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
荷風の精神を支えた大量の蔵書と共に、偏奇館は空襲で焼け落ちた。戦後、老文士は戦災のトラウマに悩まされ、奇人として有名になる。しかし尚も権威を嫌い、新憲法を嗤い、ストリップを楽しんで、市井の男女の情愛を描き続けた。著者自ら「これを書きあげたらいつ死んでもいい」と筆を振るった荷風論にして昭和論の金字塔!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
56
荷風の人間味を負の面も含め描き尽くしてる。孤高の人というが彼を慕い尊敬する人は少なからず居て、折々の窮地も助けられている。人徳の功かフランス文学や江戸や明治の文人を知悉し忘れずに伝えてきているからか。彼の用心深さ(かなりの資産家であり金銭的にもシビア)で独立独歩を貫き通せたのか。 2026/01/13
ポテンヒット
18
前後篇合わせて千頁以上の大作ながら、名エッセイストでもある著者の文章に引き込まれ長さを感じさせない。度々引用される「断腸亭日乗」も文章の巧さは勿論のこと、漢文のリズムの良さがあり読みやすい。荷風の伝記であり、昭和風俗の歴史書でもある。空襲で焼け出された人と免れた人との意識の違い。被災した人を疫病神のように見る人もいた事、空襲での夥しい遺体を速やかに処理する人がいた事など戦争の側面を知る事も出来た。荷風は晩年、奇行者のように語られるが、三度も空襲で焼け出された経験が影響しているのではという説は卓見。2025/11/20
果てなき冒険たまこ
7
荷風先生の断腸亭日常をもとに第二次世界大戦から亡くなるまでをいろんな資料によって昭和史を追いかける下巻。荷風先生は世間から離れたところに身を置こうとして変人だのなんだの言われていたけどだからこそ見える日本の風景があったんだと思う。戦争に対する批判も私娼窟通いもどこか他人の目を通して見ている感じがする。それが作品にどう関係したのかは今の読書量じゃ語れないけど行動のほとんどが作品のためという視点は重要じゃないかな。まぁこんなじーさんが近くにいたら嫌だろうけどねw2025/08/04
かやは
4
日米開戦から荷風が亡くなるまで。▽空襲で偏奇館が(大量の蔵書とともに)焼け、避難先の東中野で、疎開先の明石と岡山で、計4回も空襲に遭う荷風。伝記として荷風がどうしたかだけでなく、本書は戦災に遭った者と無事だった者の間に出来るミゾや、罹災者を厄介者とする「普通の人びと」の心情なども描き、"小文字の昭和史"の面目躍如と言ったところ。▽時代の空気を描いた文化や風俗の歴史書としても読まれ続ける作品でしょう。▽それにしても、一行しか書かれていないけど、猫を多頭飼いしてて疎開を断念する大佛次郎のインパクトですよ。2025/12/31
Gen Kato
4
永井荷風の「奇人」ぶりは戦災を3度も経験したからではないか、というのはこれまでにない観点かも。あと『日乗』に記された謎マーク、あれ、自慰のことだと自分も思います。てか、荷風ってたぶん遊び人というよりオ○○○○ですよね(だから結婚も誰かと同居も持続できないのだと思う)。ともかく前後巻、共感も異論も多々あり、読みごたえありました。2025/08/28




