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内容説明
関東大震災から急激に復興したモダン都市東京、カフェーの女給や私娼などの新しい女たち、テロとクーデターに奔走する軍人……。激変する時代に何を見て、この「最後の文人」は反時代的傑作『 東綺譚』を書き始めたのか? 『断腸亭日乗』など永井荷風の全作品を徹底的に読み込み、昭和をまるごと描き出した文芸評論の到達点!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
52
荷風絡みとはいえ、伝記や評論系の本はあまり読まないのだが、著者が川本三郎だからこそ、本書を手にした。 川本は、名家の生まれだが、「1945年5月25日の空襲で代々木の実家が焼失、同年8月、広島に単身赴任していた父が原爆投下で死去した」という。無名時の村上春樹を発掘したが、後年、批判的になった(「 Wikipedia」より)。2025/08/03
ポテンヒット
16
明治新政府の官僚である父と江戸文化を愛する母。新しい時代に向けて動き出す世の中で、かつての江戸文化は古くさいものとして扱われる。父の出世のお陰で荷風はお金に困らず生活出来るが、自身を無用者とする考えに影響があるように思う。荷風の文学は、芸者や私娼が登場して好色なイメージがあるが、富国強兵など外国に負けじとする武張った風潮と対極にある女性特有のたおやかさを描いたという著者の論考に納得。また、戦争に向かう気風に対しても、どこにも属さない荷風ならではの思いが「断腸亭日乗」に綴られている。2025/10/21
果てなき冒険たまこ
5
何か月か前に東京堂書店に行ったら平積みで気合入れて宣伝してたので気になってた本。荷風先生の断腸亭日乗をベースに丁寧に歴史を追っていく手法は下手な歴史本よりよっぽどわかりやすいし共感できる。荷風先生は高等遊民な側面ばかり取り上げられることも多いけどこれによると小説を書くネタにするためだったらしい、ちゃんと文学者してたのね。第三者的な視点で書かれた日記にはあまり登場しないけど時に語る時局は的を射ていてさすがだなと思わせる。第二次大戦後を取り上げた後編も期待したいな。2025/07/28
かやは
4
雑誌連載読んでました。▽永井荷風の日記「断腸亭日乗」を読み解きながら、庶民・大衆が生きた昭和の日乗を描いています。▽なかなか博学多識で、2.26事件の「勅命降る……」のアドバルーンを製作したのは誰かとか、一流新聞に「求妻、美人を望む」という新聞広告がたくさん出ていたとか、そういう昭和の風俗が散歩・寄り道のように書かれていて楽しい。▽浅草オペラの楽屋に出かけて写真を撮る荷風、有名な作家先生とは思わずに「写真を撮ってくれるおじいさんがいるのよ」と、写真におさまる踊子たちとの交流にジーンと来るのですよ。2025/12/19
Gen Kato
3
断腸亭日乗も荷風の小説も好きなのだけれど、好き、の理由をうまく説明できない。川本氏のこの評論を読んでも、どこか納得しがたい感がある。論考自体は興味深いし読みやすいと思いますが(しかし随所に「え?」と感じたりも。例えば震災時、弟の奥さんが自分の赤ん坊を置いて荷風と行動を共にしたこと。させられたんだろうとしか思えないのに、「立派」って書いちゃうの何でなのかな、とか…)2025/08/13
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