内容説明
銀と、ふたつの言語における単語の意味のずれから生じる翻訳の魔法によって、大英帝国が世界の覇権を握る19世紀。英語とは大きく異なる言語を求めて広東から連れてこられた中国人少年ロビンは、オックスフォード大学の王立翻訳研究所、通称バベルの新入生となり、言語のエキスパートになるための厳しい訓練を受ける。だが一方で、学内には大英帝国に叛旗を翻す秘密結社があった。言語の力を巡る本格ファンタジー。ネビュラ賞、ローカス賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
63
舞台は銀工術による産業革命で世界を席巻する19世紀の大英帝国。銀工術は、ある言語から別の言語へ翻訳する時の歪み・失われる意味を顕現させる技術で、主人公はそのために英国へ連れてこられ翻訳研究所(バベル)の学生となった中国人ロビン。同様にインド等から来た仲間達との学生生活は友情と希望に満ちてわくわくしますが、徐々に「真実」も見えてきます。特権を持つ特別なバベルの学生であると同時に人種的蔑視があり、バベルが植民地(母国)の搾取と結びついているという事実があり、徐々に大きくなるこの矛盾・歪みが「爆発」して下巻へ。2025/11/04
ひさか
50
2022年8月刊のBabel: Or the Necessity of Violence: An Arcane History of the Oxford Translators' Revolutionを訳して2025年2月東京創元社海外文学セレクション刊。19世紀のオックスフォードでの魔法世界を言語の知識と知識至上主義論理で展開、構築していくさまは見事で、取り込まれてしまう。一方、人種や性別について、帝国主義的史観がつきまとうところは、読んでいるとキツく感じる。さて、下巻では何を見せてくれるのか。2026/06/30
小太郎
49
「言葉の力が世界を支配する」なんだか難しそうな話、でもローカス、ネビュラ賞を取ってる、と読み始めました。なんと466ページ一気読みの怒涛の読書体験でした。まだ上巻だけど今年のベスト10入りは確実と言えるくらいのクオリティ。主人公ロビンは母が死んで父のラヴェル教授に広東からロンドンに連れて来られます。希代の翻訳者としてオックスフォードの王立翻訳研究所・通称バベルに入学するために。 ジャンルとしては歴史改変物、スチームパンクじゃなくてシルバーパンクといえる銀が魔法の源泉になっている19世紀の英国が舞台。続2025/05/14
ひらちゃん
48
オックスフォードのバベルが動かしていたもの。翻訳の中で生じる歪みがもたらす作用と銀。魔法と歴史の狭間で何がおきるのか。ロビンの心の揺らぎがもたらした結果に次巻への期待が募る。イギリスの横柄な考えが搾取してきた中国で、ロビンには根底からの戸惑いが(教授、母、バベル等様々で)彼を無意識にもそうさせてしまったのなら…。ファンタジーを予想して読み始めたものの、言語にも歴史的軋轢にも圧倒され続けた。面白い。バベルで互いに学ぶ4人にハリー・ポッター感があるところも関係性も好き。2025/08/10
Hiro
43
作品の世界観が斬新で、「翻訳の差異が生む力」を利用するという設定が面白い!難しい内容の本かと思ったが、学園ものファンタジーな感じで、読んでいて楽しかった。特に上巻は読む手が止まらなかった。2025/05/27
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