内容説明
松山地方検察庁地方支部の第二倉庫から出火。当直の事務官平田が焼死体で見つかった。平田の誘いで飲み屋で呑んでいた事務員竹内の記憶は曖昧で、気がつくと40キロ離れた町の旅館にいたという。検事の瀬川良一は、喪われた資料の復元を試みるが、昭和25年から26年の事件簿が持ち去れていたことに気づく。当時の担当検事大賀庸平に内容を問い合わせる手紙を送るが、覚えていないの一点張りで、まもなく大賀庸平は交通事故で死んでしまう。
放火の疑いを拭いきれず、酔った平田を連れ去った女たちの背後に暴力団の影を感知した瀬川は、何者かからの脅迫電話を受ける。
若い検事の瀬川には、縁談話が持ち上がっていて、その用を果たすため東京の実家に戻ったときに、大賀庸平の死を知らせてくれた娘の大賀冴子と会い、過去の事件の探索協力を頼み込むが、冴子は父の遺志とのはざまにいた。
失火事件の管理責任を問われ失職こぞ免れた瀬川だが、四国を離れ、前橋地方検察庁への転勤が命じられる。
限られた時間の中で瀬川は、検察と捜査権のある警察との反撥の中で、喪われた資料が昭和25年の大島信用金庫理事殺人事件の記録であること、冴子から「S」という有力者が関わっていることをつきとめる。
そして前橋赴任への途中、広島県福山に立ち寄り、信用金庫の事件当時、被疑者とされた山口重太郎という男と会うことはできた。「S」は信用金庫の山口重太郎の同僚だった……。
巨匠松本清張ミステリーの代表作、読みやすい新装版に!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
konoha
42
塩田武士さんの解説が読みたくて。検事が主人公の社会派ミステリーが好きなので面白かった。松山地検支部の倉庫から出火し、事務官の平田が焼死する。瀬川は刑事事件簿の消失から重大事件の隠蔽を疑う。瀬川が平田と生き残った竹内が本来は逆だったのではとひらめく場面がしびれた。冴子の凜としたキャラが良い。瀬川の捜査と冴子の手紙を軸に進む物語の骨格がしっかりとしていて読みやすい。瀬川がお見合いの話を引き延ばすのがイラっとする。手がかりのストリッパーがヘビ使いと花王石鹸のマークに似ている子って面白い。2025/07/05
ドットジェピー
4
面白かったです2025/02/03
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