内容説明
ナチズムの虎口を脱したポパー(一九〇二―九四)は,亡命先のニュージーランドで,左右の全体主義と対決し,その思想的根源をえぐり出す大著の執筆に着手した.その第一巻では,プラトンを徹底的に弾劾,大哲学者を玉座から引きずりおろすとともに,民主主義の理論的基礎を解き明かしていく.政治哲学上の主著の全面新訳.全四冊.
目次
ドイツ語版第七版への序(一九九二年)
ドイツ語版第一版への序(一九五七年)
英語版第一版への序(一九四五年)
アメリカ版第一版への序(一九五〇年)
イマヌエル・カント 啓蒙の哲学者
序論
第一巻 プラトンの呪縛(上)
起源と運命の神話
第一章 ヒストリシズムと運命の神話
第二章 ヘラクレイトス
第三章 プラトンのイデア論
プラトンの記述社会学
第四章 静止と変化
第五章 自然と協定
プラトンの政治綱領
第六章 全体主義下における正義
注
編者の注記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
35
読中の劣勢と読後の敗北感、そして何かが身についた感。表題に釣られて二部を積読していてその一部の本巻(上)を。注釈が200ページを超え、個人的にはその注をもネットに頼る。数多の睡魔との闘争ののち何とか読了。ギリシャ哲学を根とする以前のヨーロッパ的価値観は、歴史法則主義という時代の変遷を悪とし、安定した停滞を永久の平和として階級(差別)の固定と、選民による賎民の支配を肯定する。それは自然法則のように普遍なのだとしたプラトンを攻撃対象とする六章。難解は曲解を導くが、もやっとそう理解した。2026/02/06
ケイトKATE
33
20世紀は民主主義が発展した一方で、全体主義が登場した世紀だった。カール・ポパーは、「開かれた社会」である民主主義の最大の敵として、全体主義の源流を思想面から分析した。前半は全体主義の原流は、プラトンにあると指摘し糾弾している。ポパーは、プラトンが階級社会を容認し、支配階級が労働者や奴隷を統治するのが最善の社会であり、人間は個人のために生きるのではなく国家に仕えることが正義であると看破している。プラトンの思想には人間の自由よりも国家が最優先されていることに、ポパーは全体主義への影響を読み取ったのであろう。2024/01/23
∃.狂茶党
24
徹底したプラトン批判。 膨大な引用と注釈からなる。 開かれた社会についてはほとんど語られてないが、閉ざされた社会については、所々触れられる。 四分冊最初なのでプラトン批判だけで終わってるが、この後展開があるのだろう。2026/08/27
Ex libris 毒餃子
14
プラトニズムに乗っ取った歴史主義を批判する本。注が200ページちかくあって『プロ倫』かと思った。2023/04/21
zunzun
6
カール・ポパー『開かれた社会とその敵 プラトンの呪縛』を購入し、読了しました。 とにかく全体主義への憎悪が凄まじく、古代ギリシャの思想家、プラトンの記述から全体主義的、共産主義的なにおいを嗅ぎつけ、爬羅剔抉し徹底的に否定しています。歴史に法則があると考え、科学的な装いをしている社会哲学的傾向をヒストリシズムとよび、プラトンもそれに依存しているといいます。2023/02/23
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