内容説明
隣り合うアレリア王国との紛争が続いているエーデルシュタイン王国。自らの出自を知らない孤児の青年フリードリヒは、幼い頃から非凡な聡明さを持て余し、平凡な人生にどこか物足りなさを感じながらも、田舎の町で穏やかに暮らしていた。
ある日、町はずれに盗賊団が出没し、制圧に向かった討伐隊が壊滅。絶望的な状況に戸惑う民衆だったが、フリードリヒだけは様子が違い――?
「僕は英雄マティアス・ホーゼンフェルト伯爵の息子だ」「大丈夫、僕の考えた作戦通りに動けば必ず勝てる」
こうして自らを英雄の隠し子であると偽り、巧みな話術で民衆を奮起させて見事盗賊団を撃退!
一件落着するも、英雄の息子を騙った罪人として捕らえられてしまう。重罰は避けられないかと思われたが、なんとマティアス本人からその才能を見出され、王国軍の騎士として国に貢献するよう命じられて――?
これは、何者でもなかった青年が、歴史に名を刻む偉大な英雄となる物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
30
幼い頃から非凡な聡明さを持て余していた孤児の青年フリードリヒが田舎の街の危機に立ち上がる戦記ファンタジー。出没した盗賊団制圧に向かった討伐隊が壊滅。絶望的な状況で自らを英雄の隠し子であると偽り、巧みな話術で民衆を奮起させて見事盗賊団を撃退した結果、英雄マティアス本人にも認められて幼馴染ユーリカと一緒に王国軍騎士となったフリードリヒ。若き智将率いる隣国の侵略で窮地を切り抜けた一方、戦いが何をもたらすかを知り葛藤した彼が、覚悟を決めて乗り越えた今後の展開が楽しみです。彼を支えるユーリカの存在も効いていました。2024/07/27
こも 旧柏バカ一代
21
どうも御烙印だが、孤児として生きているフリードリッヒの成り上がりストーリー。家族を人質に取られてた傭兵団が略奪しに来て少人数だと思って討伐しに来た兵士と自警団を全滅させて、無防備となった町で略奪をしようとしたら、孤児の扇動で士気を高めた住民達に反撃されて全員捕縛されてしまった。その後、孤児は救援に来た騎士団の団長に気に入られて騎士見習いとして旅立って行く。2025/02/24
尚侍
12
ものすごく面白かった。初巻の範囲内だと戦記物というよりも軍師物の要素が強かったように感じますが、自分の立てた作戦で味方が勝利したにもかかわらず、それにかかわる一件で深く悩み込むあたりは非常に説得力があり、こうした心理描写の巧みさは本作ならではのものと感じました。初巻の段階でかなり強烈なフラグが何本か立っているので、これを回収する時に主人公がどのような反応を見せるかが今から楽しみですね。ここまで硬派な作品を読むのも久しぶりな気がするので、続きが楽しみです。2024/08/02
シノミヤユウ
6
一気に加速する面白さ!優れた頭脳を持つ孤児の青年は、全滅の危機を前に奮起する。知識をフル活用して策を練り、機転を効かせて逆境を跳ね除ける気持ちよさだけでは終わらないのが面白い!戦場に立つ重さがのし掛かる凄みに圧倒された。主人公は聡明ではあれど、平穏な日々を生きてきた一人の少年に過ぎず。年相応の等身大の感情が丁寧に描かれるからこそ、彼が己の人生の問い直しから意地と覚悟を決め、叩きつける瞬間に胸が熱くなりました。幼馴染の少女と共に戦場に立つ少年が、聡明な頭脳と強固な意地で絶望を切り抜ける戦記ものです。2024/08/09
史
3
成り上がりかそれとも貴種流離譚か。孤児の少年が才覚を発揮させて歴史の大舞台へと名乗り出る。行き着く先は英雄かそれとも引き立て役か。王道な戦記ファンタジーでありましょう。ママみたいなヒロインと主人公の持ち上げっぷりは少し気がかりではありますが、まあ英雄譚というのはそれくらい癖が強くても良いのです。悪くない。2024/11/26