内容説明
桜の下で出会った呪われた姫と無官の公達。
「おまえ自身も、おまえに関わるすべてのものも、何もかもを滅ぼしてやる」
幼い頃、目の前で息絶えた女の最後の言葉によって、呪い持ちの姫君と呼ばれるようになった中納言家の娘、詞子。ある雷鳴が鳴り響く晩、屋敷に現れた恐ろしい“鬼”に妹が連れ去られそうになるのを見た詞子は、使ったこともない矢を射て、鬼を追い払う。だが、そのせいで詞子はさらに周囲から恐れられるようになり、数少ない使用人を連れて屋敷を出、寂れた別邸に移り住むことに。
それから数日後。満開の桜を眺めようと庭に出た詞子は、そこにいた狩衣姿の見知らぬ青年に姿を見られてしまう。彼の名は源雅遠。左大臣家の嫡子でありながら、無風流な変わり者と言われ、出世の道からも外れている男だった。雅遠は、鬼姫と噂される詞子を決して怖がらず、それどころか桜姫と呼んで詞子のもとに通うようになる。鬼も呪いも関係ないように振るまう雅遠に、災いが降るかかるかもしれないと恐れる詞子だが――。
平安貴族の許されぬ恋を描いた人気シリーズが、加筆改稿の上、装いも新たに登場。書き下ろし「兄の計画」収録。
※この作品はルルル文庫『桜嵐恋絵巻』 の加筆改稿版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
幼い頃、目の前で息絶えた女の最後の言葉により呪い持ちの姫君と呼ばれる中納言家の娘・詞子。左大臣家の嫡子ながら無風流な変わり者と言われる源雅遠と出会う和風ファンタジー。屋敷に現れた恐ろしい鬼に妹が連れ去られそうになるのを、使ったこともない弓矢で阻止した詞子。さらに周囲に恐れられるようになって移り住んだ寂れた別邸で出会った雅遠との縁。呪いに巻き込むことを危惧する詞子と、彼女を怖がらない雅遠というどこか実家で浮いている者同士の不器用な交流が、いつの間にかかけがえのないものになってゆく関係がなかなか良かったです。2024/08/19
すがはら
7
昔の人気作の出し直し。題名だけは知ってたレベルだったので、何巻まであるか知らず、今出ている3巻で終わりのつもりでした。1巻の進行がずいぶんゆっくりだと思ったら長いお話だったのですね。ヒーローの和歌が苦手設定はいいとしても、勉強一般が不得手そうな描写は何か残念。この先で、実は出来る男だったってことになりますように。呪いに囚われて後ろ向きなヒロインがいつ立ち上がってくれるのか。真実を知らないらしい異母妹に腹が立つし、もちろん父親も不甲斐なさすぎて嫌です。早くスッキリさせて欲しい。でも、長いんですよね。2024/10/20
粋
7
ずっと読もう読もうと思っていたら、加筆・修正し、書き下ろしが加えられたものが出たのでこちらを読んでみた。深山くのえ先生の平安もの大好きなので今回も楽しく読了。メインの二人が共に難ありと、今後どうなっていくのか心配ではあるが、雅遠は何とかするだろうな。しかし、雅遠の名前の解釈には笑ったし、このシリーズも猫ちゃん達が活躍するんだなと思うと余計楽しみになってくる(笑)2024/08/25
イカまりこ
5
古い版の物がUnlimitedにもあるようだったけど、加筆修正されてるし続きも出るようなので購入。左大臣の息子と右大臣に縁する娘のロミジュリ。とはいえ、まだこの巻では二人の関係は親には秘密なので妨害にはあってない。二人とも順風満帆の暮らしではなく家の中で邪魔にされてる存在なのが似ているところ。自己肯定感の低いヒロインをがさつで雅に遠いヒーローが引き上げてくれる所がよかった。16才と若いカップルでヒーロー自身も恋に気づくの遅くて、兵部卿宮と同じ目線で成長を見守ってしまったw 恋に気づいてからが試練だろうな。2024/08/16
ルーシー
5
幼い頃に呪いの言葉をかけられた為、家族から疎まれているヒロインは義妹が鬼に襲われかけたことで非難され別邸に移住する。 満開の桜に誘われ庭に出ていたヒロインは狩衣姿の貴公子に見られてしまい…。 「鬼姫」と呼ばれる姫と無官の公達のお話。 落ち着いた素敵なお話でした。 今回加筆されたストーリーも面白かったです。2024/07/11