内容説明
夕方から夜にかけてのみ開く商店街「夕闇通り商店街」にたたずむ、レトロな喫茶店「純喫茶またたび」。 カウンター、蓄音機などがあり、古き良き空気が流れるお店である。 店主は蝶ネクタイをつけた黒猫で、お代は頼んだメニューにまつわる「思い出」を話すこと。 クリームソーダやナポリタン。懐かしい料理を通して「思い出」に隠されていた〈自分の心〉に気づいていく……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
112
妖たちのお店が並ぶ「夕闇通り商店街」シリーズ3作目。今度の舞台は喫茶店。クリームソーダにホットケーキ、ナポリタン、プリンアラモード…純喫茶メニューにテンションも上がります。お代はお客さまが語る「思い出」。マスターの淹れるブレンドコーヒーにも何やら秘密がありそうで。今作もサクッと読めて心温か。重い作品のあとに読んだのでことさら心にしみました。お菓子屋(妖菓子店)、郵便局(夕便局)と続いて、喫茶店(純喫茶またたび)。次は何かな?キラキラな装丁も変わらず素敵だし、続けて読みたいシリーズです✨2024/05/22
Karl Heintz Schneider
55
「猫の手も借りたい人へ」そんな怪しげな看板に目が吸い寄せられる。純喫茶またたびは夕闇通り商店街の中にある。マスターは蝶ネクタイをつけた黒猫。時々、こんな猫ジョークも飛び出す。「ここはゆうニャみ通り商店街、失礼、似ている音は猫語の発音と混ざりやすいので。」この店には悩みがあって存在が不安定になった人しかたどり着けない。そしてお代はお金ではなく頼んだメニューにまつわる「思い出」あれ?この設定、どこかで読んだ気が。最終話では黒猫マスターの過去が語られる。今はこうして立派に店主を務めている彼にも辛い過去があった。2024/06/08
一華
19
夕闇通り商店街シリーズ三作目…黒猫の猫又、バリトンボイスのマスターが営む『純喫茶またたび』お客さまは猫の手も借りたいほどの悩みを抱えたひとびと。お代は頼んだメニューにまつわる「思い出」おいしいメニューを嗜みながら、思い出に浸り、心が時ほぐされていく、いつか「究極のブレンドコーヒー」と堂々とメニューに載せられる日を夢みるマスターの思い出がまた切ない…2025/03/07
なみ
19
不思議な商店街で、黒猫のマスターが営業する喫茶店に訪れる人たちを描いた連作短編集。 どの短編も心が温まる素敵なお話でした。マスターも可愛い! 大好きな姉の負担になってしまっていたのではないかと考えてしまう妹の『青春を取り戻すホットケーキ』と、後輩とのコミュニケーションに悩む先輩の『世代つなげるナポリタン』が特に好きです。2024/07/17
荒川叶
19
食べ物にまつわるエピソード、思い出って色々。 色々な思い出と食は密接に関わっていく。2024/05/20