内容説明
サラゴサ包囲戦中、無人の館でエスパーニャ語の手稿を発見したフランス軍士官がその後捕虜となる。彼の持つ手稿が自分の先祖の物語だと知った敵の隊長は喜び、その物語を彼にフランス語に訳し聞かせた。それを書き取ったものが本書だという。真正完全版で削除された逸話を多く収録し、物語の配列も異なる、異本の工藤幸雄訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maqiso
5
主人公の怪異譚に、知り合った人の体験談やその中で聞いた話などが入り乱れて楽しい。近代科学の話が出つつも、キリスト・イスラム・ユダヤの交わる神秘的な土地というイメージが強いのが面白い。口語から候文まで文体が凝っている。2024/07/21
ふゆきち
3
上巻の段階では真正版とそこまで違いはありませんでした。ベラスケスはずいぶん早くに出てきますが。今後さまよえるユダヤ人の話がどう絡んでくるのか楽しみです。2025/05/06
迦陵頻之急
3
はい、確かに全訳刊行で岩波文庫の後手に回りました。いわゆる「完成版」とも違うし。しかし、です。そもそも、故工藤幸雄氏による国書刊行会の部分訳のおかげでこの奇書に初めて触れたんです。河出文庫「東欧怪談集」に、新たに未訳のエピソードが収録された時は、工藤氏による全訳が東京創元社より刊行予定との記事に心躍らせたものです。それ以来、待つこと久しく、結局別訳によって初めて全貌に触れる結果に。さりとて工藤幸雄全訳が遂に刊行となれば豈これも読まずにおられんや。平明な岩波の文体に対して少し時代がかった文体も味。2024/06/18
funa1g
1
不穏な館に迷い込んだ男は、二人の美しい女に誘惑され、目を覚ますと絞首台の下にいた。盗賊、カバリストに親方と次々に現れる人々が、それぞれに身の上を話す。が、何人もが、館に迷い込む人と悪魔と思しき二人の女に誘惑され、絞首台の下で目を覚ましたと語る。この不思議な出来事は何なのか。語り手を誘った二人の女は本当に悪魔なのか。似た話が語られるのに、語りの巧さとディテールの面白さでとても面白い。続きがどうなるか、ネタバレも見てないのでとても楽しみ。2024/07/24
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