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内容説明
女帝・称徳天皇に取り立てられ重用された奈良時代の僧侶、道鏡(?~772年)。女帝に取り入って皇位さえうかがった野心家として、長く悪名が根付いているが、本当にそのような人物だったのだろうか。さまざまな伝説を検証し、最新資料を検討すると、道鏡は実際には政治に関与することなく、天皇への仏教指導に終始した人物としての意外な実像が見えてくる。史料の綿密な検討によって、謎が多く、悪評にまみれた時代の寵児の実像に迫るとともに、古代政治の実態を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
127
道鏡は「女帝の愛人となり政治を支配したあげく皇位まで狙った悪僧」とされてきたが、実像は全く違った。聖武天皇に見い出された道鏡を、称徳天皇は父の思い出を語り合える相手として重用したとする。法王や太政大臣禅師という地位も天皇の仏教指導者としてのもので、当時の国家的事業である西大寺建立に道鏡が関わっていない経緯を史料から証明する。宇佐八幡託宣も皇位を自分の玩具扱いした称徳のワガママによるが、事実を記すと天皇の非が明らかになるので道鏡に罪をかぶせたのだと。称徳という独裁女帝に振り回された時代の犠牲者というわけか。2024/07/07
trazom
105
数多くの風説に塗れる道鏡だが、著者の解釈は明快。道鏡同衾伝説や称徳淫乱伝説は「下種の勘繰り」と一蹴し、また、太政大臣禅師や法王という道鏡の地位も、天皇の仏道修行の指導に限定され、太政官政治には一切関与していないとする。さらに、宇佐八幡託宣事件は、道鏡の発意ではなく、称徳天皇自身の筋書きだったと。「続日本紀」に記された詔を読み解きながら、複雑な人間関係や組織の権力闘争を推理する手法は、あたかも、ビジネス小説を読んでいるようなスリルに満ちている。歴史学的な評価は私には分からないが、これはこれで、確かに面白い。2024/07/25
南北
50
読友さん本。戦前の皇国史観では三大悪人の一人とされた道鏡について人物像を明らかにしようとしている。続日本紀などの資料をもとに仮定を積み重ねながら歴史的事実を探ろうとする姿勢は好感が持てた。日本古代史の本を読んでいてこうした感覚が持てるのは珍しい。道鏡と言えば女帝との仲を邪推する話が有名だが、最終的に左遷ですんだことを考えるとあり得ないと言える。太政大臣禅師や法王の地位は称徳天皇個人に対する仏教指導の役割しかなかったとしたり、宇佐八幡宮の託宣についても称徳天皇が主導したとするなどは興味深く感じた。2024/08/02
よっち
38
女帝・称徳天皇に重用された奈良時代の僧・道鏡。女帝に取り入って皇位さえうかがった野心家として、長く悪名が根付いている道鏡の様々な伝説を検証し最新資料を検討する1冊。道鏡の様々な伝説を検証する一方で、出自とされる弓削氏がどういった状況にあったのか、出家して仏教と出会った経緯、称徳天皇の即位事情と藤原仲麻呂の乱、彼が大臣禅師・太政大臣禅師・法王と出世していった経緯を解説していて、実際には知識で仕えた私的顧問程度の存在で、イメージほど悪辣な人物ではなく称徳天皇を悪く言えないがゆえの評価だったというところですか。2024/05/06
ぽんすけ
18
道鏡といえば奈良時代の宮廷ゴシップの有名人。とにかく悪名が独り歩きしていて、では実際にはどんな人だったのかというと、一次資料がまぁ少ない。だけどその少ない「続日本紀」等の資料から客観的に道鏡を見てみようというもの。スキャンダルにまみれてた怪僧道鏡も面白いんだけど、今回の本にある通り事実を掘り下げてみていくと、道鏡は悪人というより権力者に贔屓にされちゃった人、という気がしてくる。称徳天皇のごり押しの産物というか、歴史書では天皇批判になるので遠回しに道鏡を否定することで称徳天皇の政治方針をバッサリ否定している2024/10/08
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