内容説明
女性は御簾に隠れるべき存在だった時代、紫の上は軽やかに駆ける少女として描かれた。作家が物語に託した革新的なアンチテーゼは、一千年後の読者である我々にも届いている。現代の作家・橋本治が書き手の孤独と希望に寄り添いつつ、世紀の長篇を読み解く。座談会「物語の論理・〈性〉の論理」後篇(三田村雅子・河添房江・松井健児・橋本治)収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
47
源氏物語に対する語りが熱いです。ジェンダー関連なのか、男性が源氏物語への思い入れを語れば語るほど違和感を感じてしまいました。それでも男性から見た女性心理は支離滅裂であれど、橋本氏の訳した源氏物語をまた読みたいと思ってしまうのでした。2024/05/12
NORI
24
源氏物語解説・考察の下巻。光源氏の前に立ちはだかる完全なる敵役・弘徽殿の女御が、なぜあそこまで悪役扱いになったのかの考察は、特に興味深かった。冷静に彼女の振る舞いや人生を観察すると、言うほど悪い人じゃない。教養があり、家族を想い、しかし夫や息子からは距離を置かれ、結構酷い目に遭っている。努力が幸せに繋がらない気の毒な女性。同様の視点での考察は、林望さんも「謹訳 源氏物語 私抄」でされていた。紫式部が現代に生きていたら、弘徽殿の女御視点でのスピンオフ作品を書いてくれると、話の幅も拡がって面白そう。2025/06/26
LUNE MER
14
源氏物語を読む上で現代感覚とは異なることを理解しておかねばならない「美しさ」「愛」の意味について論じている部分が興味深い。ジェンダー論に照らして考えてしまうと滅茶苦茶な部分はもちろんあるのだけれど。この手の書を読むとまた読みたくなってしまう源氏物語の吸引力もまた凄い。2024/02/15
眉毛ごもら
4
著者の源氏の君に対する男君の熱い想いが語られていたのであ…はい…ってなりましたね。そこのインパクトが強すぎて玉鬘とか紫の上とか浮舟とか私の脳内から飛んでいったわ。私があさきゆめみしや各種訳本読んだ時の腐女子思考に行くの頭中将と小君ぐらいだったから、桐壺帝、朱雀帝、冷泉帝の近親者とのアレヤコレヤは想定外。親族間の親愛だと思ってたし今後もそう思って生きていきます。玉鬘で男たちを弄んでからかおうとしたら玉鬘可愛すぎて血迷ったは同意するけどそこにBL成分はなかったと思うがそういう二次創作としては読んでも良いかも。2024/03/14
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