内容説明
「頼んだよ……鷹央君」
師を殺したのは、誰だ?
御子神氷魚。帝都大学の元主任教授で、現在は総合病院の院長を務める彼女は、天久鷹央の学生時代の師だった。
同じ個性を持つ氷魚に導かれ、診断医の道を志した鷹央。
天才医師が唯一「先生」と呼ぶ存在は、しかし不治の病に冒されており、最後には不可解な死を遂げる。
謎めいた言葉を遺した師の真意を知るため、鷹央は捜査を開始するが……。師弟の絆を描く、本格医療ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
78
鷹央の恩師・氷魚が登場する。そのため鷹央がいつになく人間的な面を見せる。小鳥遊のフォローが的確になってきていることに驚く、小鳥クンも成長?したねえ。医療機器の進歩によって病院が意外に危険をはらんだ場所であることを知った。今回は舞ちゃんの出番が少なかった。鷹央が猫好きであることが分かった。2024/02/10
Nyah
46
karte01.毎年の様に2月末から3月初旬にかけて急性肝炎なる少年 鷹央気遣い出来るようになって☺️読者が嬉しい。karte02. 鷹央が捕獲したのは、ペインティングされた猫 karte03.自閉スペクトラムの鷹央と同じような特性を持つ御子神氷魚は帝都大学の元主任教授で、現在は総合病院の院長。更に天久鷹央の学生時代の師で、現在鷹央の外来に通院している。そんな中、氷魚は気になる事を鷹央につたえた後亡くなる。鷹央は真相を掴む事ができるのか。 今回も楽しく読みました。2024/03/07
さっちゃん
46
鷹央の学生時代の師で、鷹央が唯一「先生」と呼ぶ同じ特性を持つ御子神氷魚。病で余命一年の氷魚は、鷹央に謎めいた言葉を残し不可解な死を遂げる。病死かそれとも…。/推理カルテということで短編『禁断の果実』『七色の猫』と中編『遺された挑戦状』収録。『七色の猫』のみ既読。/氷魚先生の信頼に応えようと痛々しいほど必死になる鷹央。同じ特性を持つ者同士のゲームのような挑戦は、それだけ信頼していたからか。でも、大切な弟子を巻き込んで欲しくなかった…というのは凡人の考えなのかな。氷魚先生と鷹央の昔のエピソードも読みたかった。2024/02/06
星野流人
42
3つの事件の短編エピソード。「禁断の果実」は患者の容姿が整っていることが病理に繋がっているのがとても意外に感じられて、とてもおもしろいエピソードでした。「七色の猫」は色を塗られた猫にまつわる、軽めの小さな事件。猫は自分の体を舐めたりとかするので、大丈夫なのかなと心配になります。 「遺された挑戦状」は鷹央の師匠である氷魚の物語。全てが明らかになったあと氷魚の亡くなる場面を読み返すと、違った見え方ができて衝撃的でした。『異質』同士の信頼関係、とてもかっこいい作品です。成瀬刑事がちょっとかわいそうでは……?2024/04/03
よっち
40
不治の病に冒され、最後には不審死を遂げた鷹央の師。謎めいた言葉を遺した彼女の真意を知るため、鷹央はその死に関する捜査を開始するメディカルミステリ。少年が毎年決まった時期に肝臓障害で入院している原因。鷹央の家に飛び込んできた猫が青く着色されていた理由。そして鷹央が唯一「先生」と呼ぶ、学生時代に診断医の道を示してくれた師の意味深な独白とその不可解な死の真相。謎を解き明かしてみせた鷹央に提示される師からのまさかの挑戦状もあって、彼女のことを信じて託した師の想いに見事応えてみせたその結末はなかなか良かったですね。2024/02/05