内容説明
池井戸潤の最新長編の舞台は、
「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。
青春をかけた挑戦、意地と意地のぶつかり合いが始まる。
ついに迎えた1月2日、箱根駅伝本選。
中継を担う大日テレビのスタッフは総勢千人。
東京~箱根間217.1kmを伝えるべく奔走する彼らの中枢にあって、
プロデューサー・徳重はいままさに、選択を迫られていた――。
テレビマンの矜持(きょうじ)を、「箱根」中継のスピリットを、徳重は守り切れるのか?
一方、明誠学院大学陸上競技部の青葉隼斗。
新監督の甲斐が掲げた「突拍子もない目標」の行方やいかに。
そして、煌(きら)めくようなスター選手たちを前に、彼らが選んだ戦い方とは。
全てを背負い、隼斗は走る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はにこ
43
正直、上巻を読み終えた時は、テレビ局の下りは要らないんじゃないかと思っていた。しかし、下巻での辛島のアナウンスによりその考えは打ち消される。走る一人ひとりの想いや背負っているものが伝えられることによって上巻での伏線が回収されていく。それが涙腺にめちゃめちゃ効いてきて電車の中で耐えるのがキツかった。襷が繋がり終わりが見えるにつれ、いつまでもこの光景を見ていたい。そんな気になる作品だった。2024/04/26
Schunag
10
下巻はほぼまるまる箱根駅伝のレース。つまり丸の内から箱根へ走って戻ってくるだけなのに、単調でないどころかカラフルでスリリングであることに驚くが、よく考えれば主人公チームだけでもランナーが10人、それぞれのドラマがあるのだから短編小説が10編入っているようなものなのだ。天候、コンディション不良、怪ランナーの登場、ライバルとの因縁などドラマの種は喜怒哀楽全部入り。要所要所に入る中継側のドラマも素晴らしく、CMを入れるタイミング選びがこんなにもスリリングになろうとは。個人的な推しは辛島アナ。その名調子に泣く。2024/04/24
ちび太
4
過剰な演出がなく、箱根駅伝という素材を最大限活かした小説。本人回想と実況のバランスが心地よく、終盤になるにつれて盛り上がる。実際の箱根駅伝では、学生連合チームは近年低迷しており、100回大会では編成されなかった。101回大会は編成させるだろうか?編成されると盛り上がるのになぁ、と思う。2024/04/24
海カーブ
1
一人ひとりの人生を見た。2024/04/27
みち
1
箱根の区間10区まで走者一人ひとりのエピソードあり。そのエピソードが泣けてくるんだよな。学連選抜の走者だけでなく、ライバル校の走者のエピソードもあり、箱根ならではの感動も。最近の学連選抜の成績を見ていると、到底この成績は難しいだろうね。時おりテレビマンのストーリーも出てくるけど、やや中途半端感が。どちらかに絞ってもよかったかも。しかし、箱根好きにはたまらん1冊で速攻読み終わりました。2024/04/26