内容説明
池井戸潤の最新長編の舞台は、
「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。
若人たちの熱き戦いが、いま始まる!
古豪・明誠学院大学陸上競技部。
箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。
本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。
隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか?
一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。
プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。
「不可能」と言われた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はにこ
49
駅伝に出ることが叶わなかったチームの選手が寄せ集められた学生連合。確かに現実では下位に終わることが多いけど、この物語では3位以内を目指す。心がバラバラだったチームが何とか一丸に。放送する側も描かれている。正月の駅伝放送は色んな人の努力と協力で成り立っているのを感じた。何か秋の日テレドラマでやりそう。下巻へ。2024/04/26
ぼっちゃん
33
箱根駅伝は襷をいかにつなぐかということで襷の重みを良く描かれるが、今作は記録も順位も残らない、出場できなかった学校から選ばれる学生連合チームの駅伝物語。池井戸さんのスポーツものはこれまで企業スポーツが多く、社内のもめごとを含め描かれていたが、今作は箱根駅伝の中継するTV局が出てくるだけで少し少な目かな。箱根駅伝が始まる下巻へ。2024/04/29
ほのぼの
28
上下巻という質量に躊躇した。けど、ペラッと表紙から数ページめくってみたら、いきなり予選会が始まってる!うそ〜っ!そんなクライマックスを頭に持ってきてどうすんの?もう読むしかない!主人公は学生連合チーム。えっ⁉と驚き。箱根駅伝は毎年のように予選会から観てる。が、連合チームには正直言って関心なかった。ごめんなさい。私はアホでした。こんなにドラマティックなチームは他に無いじゃないか!上巻ですでに涙グチョグチョ。2024/04/29
PEN-F
21
さすが池井戸さんというべきか、最高のカタチで下巻へタスキを繋いだ上巻の終わり方でした。下巻はいよいよ箱根駅伝本戦での激闘が繰り広げられるのでしょう。一体どんな結末が待っているのか、下巻を読むのが楽しみです。2024/04/29
Schunag
8
上巻は予選会から本選直前まで。予選敗退校から優秀者が選ばれたチームの物語なので、つまり『がんばれ!ベアーズ』系のルーザーたちの奮戦です。そこに本選を中継するTV局の物語が織り込まれるのが新鮮で、東京=箱根間の往復駅伝を生中継するのが大プロジェクトなのだと気づかされました。アナの選定、下取材、カメラ設置場所の交渉など、職業人のドラマが実に面白く、バラエティ系のお偉方が中継をショーアップしようと暗躍するあたりの社内政争劇もスリリング。いざ本選へ!というドラマティックな歓喜で上巻は幕となり、否応なしに下巻へ。2024/04/24