内容説明
関所破りは磔が定め。武州栗橋の関所で偽造の往来手形が発覚、諸国放浪の絵師土田半左衛門が捕らわれた。
江戸の評定所での調べは淡々と進んだが、寺社奉行の大岡忠相は「小普請組旗本の内藤斎樹なる侍を知らぬか」と脈絡のない名を出し、周囲を混乱させる。
半左衛門が放浪の旅に出たという十五年前、旗本倉橋家の若侍が斬られ、疑いのかけられた旗本家当主内藤斎樹は割腹し、面目を保ったとして両家が決着、調べが止まった事件が大岡忠相の記憶に甦った。
謎を謎のまま残してはおけない大岡越前。
半左衛門あるいはその父土田庫之助と内藤斎樹とは関わりがあったのではないか? 大岡忠相の意を受けて、鷹匠の子・古風十一や元読売屋の金五郎たちが動きはじめる。
だが相手は格式ある旗本家、決着済みの事件を掘り返す大岡忠相への反発は強い。
浮かびあがってきたのは、武家に仕える希みを失って隠売女商売に手を染めた土田庫之助の転落と、娘を惨殺された歌比丘尼大鶴の悲痛な嘆きだった。
蓋をされた十五年前の事件に隠された人々の哀感をていねいに描き出す、辻堂魁の調べ直し事件帖!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
22
2024年1月講談社文庫刊。書き下ろし。シリーズ3作目。2つの理不尽な事件が語られる。今回も地味な展開で、相当にがんばらないと進みません。大岡越前と吉宗がとった対応がラストで明らかになり、胸をなでおろしましたが、事情を知らずに悪事に加担してひっくり返された人はまぁ大変な思いだわなと思いました。2024/02/20
ぶんぶん
20
【図書館】再吟味シリーズ、第三弾! 古風十一が丁寧に調査するミステリー。 丁寧過ぎて、ちよっとまどろっかしい。 こういう、書き方が辻堂魁なのだが、それにしても丁寧過ぎる。 鳥差しの十一の魅力が十分に引き出されていない。 コツコツ調べる十一だが、余りに状況説明が多いと思う。 比丘尼の話が、もう少し聞きたかった。 主人公の活かし方は、これで良いと 思う。2024/06/26
ニッキー
10
この作家は、やはり好きです。 今回も読み辛いが、中味は面白いし、濃いですね。 第二巻を読み忘れていました。2024/03/13
kazukitti
7
割と人情ほろりオチになるのは辻堂作品ではデフォではあるんだけど、その前に胸糞カスヤロウが出たりするのもデフォでもあったりするのだけど、このシリーズは別所龍玄のと同じく静かなトーンが活きてるシリーズだと思うので、ソコと相まって読後感はいいと思う。でも細かすぎると伝わり難くてもっちゃり中だるみ感もなくもないのがアレっちゃあナニかもw2024/12/05
jima
5
15年前の事件を追う。2025/07/12
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