内容説明
大岡裁きで勇名を馳せた大岡越前は還暦を迎え、江戸町奉行(南御番所)から寺社奉行に転出していた。閑職ではないものの、大岡は事あるごとに江戸町奉行職の記録を捲って振り返る。本当に裁きが正しかったのかどうか気になってならない事件があるのだ。大岡は鷹狩で知り合った若い餌差・十一を使い過去の事件の捜索を始める。事件の鍵は意外なところにあった。その驚愕の真相とは?(講談社文庫50周年書き下ろし作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
87
辻堂氏作品初読み。そして、新シリーズ第一巻とのこと。大岡捌き再吟味がテーマとの事。面白そうで書店で以前見てから気になって読了。ただ、正直、大岡越前そのものを歴史上の一般知識しかない僕。でも愉しめたのであった。正直、筋書き自体はまあそうかというミステリーではあるのだが、登場人物に手を引かれ、前半以降読み進めてしまい、読まされてしまったという感あり。一つの物語として、そしてシリーズ化の共通テーマとしてこの大岡越前捌き再吟味というのは面白し、惹かれる。2022/01/23
とし
76
大岡裁き再吟味「落暉に燃ゆる」1巻。新シリーズのようですね。寺社奉行となった大岡越前が南町奉行だった頃、死罪を言い渡した裁きが気になり、事件の真実を探ろうと、吉宗の鷹狩りに随伴した時に知り合った鷹匠頭の十一番目の子供、十一に再調査を命じる。古風十一と、お半それに岡野雄二郎左衛門それぞれの絡みが面白いですね。2022/02/21
やま
62
還暦を過ぎた大岡越前守忠相が、過去の気がかりな事件を振り返る物語。忠相が、八代将軍徳川吉宗の御鷹狩りで颯爽と走る千駄木組鷹匠組頭、古風昇太左衛門の十一番目の息子、十一を見てから、この若者を気に入り十人扶持をあたえる。2023/05/04
はつばあば
54
遠山の金さんこと遠山景元と大岡越前はTVでお馴染み。徳川12代目と越前の仕えた吉宗とは開きがあるが・・カッコイイ加藤剛さんでしたよねぇ。いまだに惚れ惚れしますわ。その加藤さんが演じた越前さんも寄る年波に勝てず・・来し方を振り返って過去の事件を洗い直す。洗い直すったってなんの権限も持たず処罰を課するわけでもない。そうなんよ寝覚めが悪いの。もうじきお迎えが来るのに魚の骨が喉に引っかかったのと同じように気になって。そう閻魔さんにあの処罰は間違っていたと詫びたいのよきっと。で、登場するのは才槌頭の若武者の餌差2022/10/30
ひさか
23
2021年8月講談社文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。タイトルの落暉(らっき)なんていう言葉は初めてで新鮮でした。還暦を迎えた大岡忠相が部下の古風十一(さきかぜじゅういち:ふるかぜといちと読んでました)にかつて裁いた事件の再調査を命じます。十一の調査が物語の中核をなしていて、サブタイトルも設定も面白いなと感心しましたが、あまり活かさられないまま、ラストに大岡自身も含めた事件の顛末が語られます。大岡さんはあまり語らない。少しな〜んだ感ありました。残念。2022/11/23