殺人は容易ではない: アガサ・クリスティーの法科学

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殺人は容易ではない: アガサ・クリスティーの法科学

  • ISBN:9784759823523

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内容説明

あの有名作品からマニアックな短編まで
ミステリの女王、アガサ・クリスティーが
作品に織りこんだ法科学を徹底分析!

・デビュー作『スタイルズ荘の怪事件』で示された指紋の正確な知識
・微細証拠の存在が有罪の決定打とならないことを示す『マギンティ夫人は死んだ』
・銃を嫌っていたクリスティーが『ナイルに死す』へと結実させた弾道学
・筆跡の違いが手掛かりとなる『オリエント急行の殺人』
・痕跡証拠が存在しないことが重要な意味を持つ『ゴルフ場殺人事件』
・『ポアロのクリスマス』で用いられた血液凝固に関する意表をつくトリック
・検死解剖の詳細を徹底的に調査したことがうかがえる『エッジウェア卿の死』
・現実の中毒事件解決にも貢献した『蒼ざめた馬』のリアリティあふれる描写

稀代のストーリーテラーとして、世界中で愛されているアガサ・クリスティーは、法科学の専門家ともいえる一面を、その物語から垣間見せてもいる。本書では、ポアロやミス・マープルといった魅力的な登場人物を通して描かれる法科学を紹介し、“法科学者”としてのクリスティーに焦点を当てる。現実の事件に影響を与えるほどのリアリティで描かれる世界を、最新の法科学の知見から読み解く。

●目次
はじめに――犯行現場
第1章 指紋
第2章 微細証拠
第3章 法弾道学(銃器)
第4章 文書と筆跡
第5章 痕跡、凶器、傷
第6章 血痕の分析
第7章 検死
第8章 法医毒物学
結論――ゼロ時間へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

119
クリスティー作品における犯罪に使われた毒薬や拳銃、指紋に血痕から文書鑑定に至るまで科学捜査の展開を元検死医が解剖していく。彼女が第一次大戦期に看護師や薬剤師を務め、医学の素養を身につけていたのは有名だが、それ以外の犯罪方法や捜査手法の進展についても学びも怠らなかった様子がわかる。こうした研鑽があってこそ、ポワロやミス・マープルと殺人犯が熾烈な頭脳戦を展開する様を読者は堪能できたのだ。クリスティーの作品論は多いが、法医学の専門家でなければ書けないトリビアの数々は実に楽しい。ファンなら絶対手許に置きたい1冊。2024/02/16

くさてる

17
指紋、微細証拠、文書と筆跡、血痕……クリスティの作品に描かれる法科学をテーマに、その科学の歴史と詳しい内容を丁寧に解説したもの。クリスティの小説といえばすでに数十年前の作品になるけれど、時代の流れと科学の進歩、また同時にそれでも変わらない殺人に至るまでの人間の激情などにまで思い至る、濃い内容の一冊でした。クリスティファンはもちろん、法科学に興味ある人におすすめです。2024/03/16

本の蟲

16
古いミステリを読んでいると、現代では通用しないトリックもまれにある。最新の研究から古典ミステリを論破する本と思いきや、アガサ・クリスティがどれほど科学捜査に精通し、知識をアップデートし、作品に生かしてきたという内容で返り討ちに合った気分。指紋、微細証拠、法弾道学、法医病理学等、その研究の歴史、おそらくアガサも参考にしたであろう、科学捜査が決め手で解決した実際の事件の数々。そして、その知識や手法を取り込んだアガサ作品での具体例。科学捜査の知識がミステリという娯楽で、一般大衆に周知されていった軌跡がわかる一冊2024/01/12

mmay12

4
法医学の専門家が見るとクリスティがこんなにも先進的で探究心に溢れた作家だったということを知り、新鮮な驚きを覚えた。クリスティの何が好きかって、やはり細やかに描かれた人間の感情の動きだ。今の私たちと同じ種類の情動に駆られた登場人物にグッと引き込まれ、その暗く鮮やかな犯行のプロセスを作家のきらきらした目が作り出していたのだと想像する。すると、ページの中では人が残忍に殺され、陰惨な死に方をしているというのに、こちらは実に幸せな時間を味わえるのだ。ありがとう、アガサ。2024/04/02

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