内容説明
心に耐へぬものなげかしさのみうち添ふや──.太上天皇に準じる位に登り,明石姫君を入内させた四十歳の源氏.子息の夕霧も初恋を成就させ,六条院では慶事が続く.その栄華の絶頂で,源氏が直面した女三宮の降嫁は紫上を深く苦しめる.全五四帖中最大の巻「若菜(上・下)」を「梅枝」「藤裏葉」とともに収録.(全九冊)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
凡例
梅枝(むめがえ)
藤裏葉(ふぢのうらば)
若菜(わかな)上
若菜(わかな)下
付図
解説 紫上と女三宮(田村隆)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
83
美貌だけでなく、知性や振る舞い、人との接し方からも評判がいい紫の上。ところが光源氏の好意がなければ、日陰者だという事を思い知らされ、苦悩する事になる。そんな彼女にとっての心の慰めである出家も男の愛欲によって許されないどころか、昔の愛人たちが出家している事を知らされる。これは確かにキツいわ・・・。しかし、女三宮、そんなに素敵な女性なのだろうか?確かに光源氏の人選びのなさや気のかけなさも原因の一つだろうが、身分が高貴なだけで中身は空っぽな馬鹿女だと思う。しかし、柏木の猫の夢は深読みすると艶めかしすぎるな・・・2019/04/12
NAO
75
明石の姫君が東宮に入内し、夕霧と雲居雁は結婚。新しい世代の話が進む中、女三宮が源氏のもとに降嫁し、紫の上の正妻の座が危うくなる。そんな紫の上の穏やかならざる心中を考えることもなく朧月夜と逢瀬を重ねる源氏のくずっぷり。出家を願っても、それすら許されない紫の上の立場は、女性の目から見るとなんともたまらない。こういった面でも、源氏のくずっぷりを強く感じる。女三宮の未熟さは、いかにもあぶなっかしい。女三宮の危うさに源氏が気づかないのは、絶頂期の奢りか、自分と女三宮・柏木との年齢差に気づけない老いのなせる業か。2019/04/19
syaori
56
梅枝~若菜・下。准太上天皇位を得て先帝、今上帝が六条院に行幸する「藤裏葉」が源氏の栄華の頂点だったように思います。ここで幕を閉じてもよかったと思うのですが、この物語が私達の心を捉え続けるのは、やはりその後を語る「若菜」以降があるからなのだと思います。女三宮の降嫁で生じた源氏と紫の上の間の不調和や出家を思うに至る紫の上の内省、女三宮の幼さが源氏にもたらす懊悩は、幸福とは栄華とは何か、この無常の世での生とは何なのかを考させずにはいられません。自身の老いを材料に柏木に皮肉を言う源氏の君を哀しく眺めながら次巻へ。2021/04/15
金吾
27
次の世代に移りつつあります。夕霧は本願を成し遂げ、柏木は暴走します。三宮に関しては源氏も因果応報ですが、柏木も何なのだろうと思いますので、源氏の柏木へのねちっこさはわかります。2024/01/05
tsu55
21
梅枝から若菜(下)まで。准太上天皇の位を得て栄華の絶頂に達したかに見える源氏。ところが、月に叢雲、花に風。最愛の紫の上が物の怪に取りつかれ、さらに女三宮を柏木に寝取られるという、人生のジェットコースター。源氏を中心とした一大響曲がここでメジャーからマイナーに転調する。2020/09/02
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