内容説明
「こぶ男の物語」の続きで,殺人の罪を着せられた三人の一人,仕立屋が語るおしゃべりな床屋と,その五人の兄たちの抱腹絶倒の物語.また,ペルシアの王族の貴公子とカリフお気に入りの美女との許されざる恋の物語,なかなか結婚しない王子と王女が数奇な運命を経て恋に落ち,結ばれるまでの不思議で面白い物語が語られる.
目次
こぶ男の物語(続)――第百六十六夜~第百八十四夜
仕立屋が語った話(続)
床屋の話
床屋の一番めの兄の話
床屋の二番めの兄の話
床屋の三番めの兄の話
床屋の四番めの兄の話
床屋の五番めの兄の話
床屋の六番めの兄の話
アブールハサン・アリー・イブン・バッカールとカリフのハールーン・アッラシードのお気にいり
シャムスンナハールの話――第百八十五夜~第二百十夜
ハーリダーンの子どもたちの島の王子カマルッザマーンと,中国の王女
ブドゥールの愛の話――第二百十一夜~第二百三十四夜
カマルッザマーンの話の続き
中国の王女の話の続き
マルザワーンの話,およびカマルッザマーンの話の続き
カマルッザマーン王子とブドゥール王女の別れ
カマルッザマーンと別れてからのブドゥールの話
ブドゥールと別れてからのカマルッザマーンの話の続き
二人の王子,アムジャドとアスアドの話
拝火教徒の町に入って捕まったアスアドの話
拝火教徒の町でのアムジャド王子と女の話
アスアド王子の話の続き
注
解説(西尾哲夫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
164
全六巻の折り返し地点第三巻まで来ました。イスラム教では女性性悪説なのでしょうか?邪まな女性が多く登場します。本巻末で234夜まで来ました。既刊三巻を読了し、巡航速度となりました。続いて新刊の第四巻へ。トータルの感想は、全六巻読了後に。 https://www.iwanami.co.jp/galland/2020/01/11
ケイ
108
ちょっと中弛み。エロさが好みではなく、次第に文字の上を目線が滑っていくようになってしまった。シェヘラザードは夜伽のように話していたのかとこれまで勘違いしていたのは、この男女の話があったからかも。でも実は夜明け前にする話で…、しだいに明るくなってくる時にはなんとも。罪のない男が罰されない話などは楽しいね。2020/06/23
KAZOO
105
この第3巻はかなり読むのに時間がかかってしまいました。「こぶ男の物語」の続きまではいいのですが、どうもその後の男女の絡みの話が年寄りにはしんどくて疲れてしまいました。むかしはこの手の読書は気にならずに「危険な関係」や「アベラールとエロイーズ」などを読んだものでしたがもう駄目ですね。ただ訳は昔のものに比べて格段に読みやすい気がします。2020/04/19
syaori
59
前巻から続く『こぶ男』の楽しい大団円を見届けた後は、美しい男女の恋を巡る2作が続きます。カリフの寵姫とペルシア王族の青年の恋を巡る物語は時代や国を超えた普遍的なお話で、絶望的な恋に対する狂おしい思いが胸を打ちます。ただそれだけに『千一夜』らしさという点では不満が残るななどと思ったのですが、続くカマルッザマーンと中国の姫の物語は豪華な七つの離宮に加え、ペルシアから中国までを舞台とする地理的にも舞台装置的にも壮大なお話で、艶やかで波乱に満ちた恋人たちのドラマと共に、多彩で豊かな千一夜の魅力を堪能する巻でした。2020/10/06
りー
25
「こぶ男の物語」の後編、「(略)シャムスンナハールの物語」「(略)カマルッザマーンと中国の王女」を収録。シンドバードの冒険物語の後に喜劇的なこぶ男、次は王の愛妾と亡国の王子の悲恋、次は運命的な出会いをするカップルとその息子たちの数奇な物語…と、内容がバリエーションに富んでいる。物語には様々な王様が登場しますが、どの統治者も、旅人や罪人が語るお話を、まーよく聞くこと。こぶ男の話の床屋なんて今でいうところの「ウザイ」奴なのですが、最後まで話をさせる。しかもお話が面白かったら無罪放免したりして(笑)。2022/01/22