内容説明
医師たちが目の当たりにした地下鉄サリンの犠牲者・被害者たちの症状は、戦慄すべきものだった。約二か月後、教祖逮捕。公判が始まった。次々に明らかになる殺害事件の詳細、洗脳の恐怖、化学兵器の数々。教団の闇に迫った医師はついに証人尋問に臨んだ。精確で豊富な医学の知見と毅然とした態度で――。未曽有の事件の端緒から終結まで、医師として関与した目で描き上げた類を見ない大作。(解説・國松孝次)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
39
オウム事件の全貌を記録小説風に詳細描写なのだが、この分野の雄・吉村昭氏の作品ような切れがないのが少々残念。とは言え、同時代の衝撃的事件、浅原とも同世代、そんな中で起きた身近な事件で、もしかしたら私もという緊張感で800頁超え2日間で読了。次はフィクションでもよいので理系高学歴人間の彼ら・彼女らが何故あんな洗脳にはまってしまったのか、人間の不思議と闇をどなたかに描いてもらいたいものだ。2023/09/11
くろにゃんこ
32
下巻は地下鉄サリン事件後の話で被害にあった方の症状やオウムが起こしたほかの事件など。そして長い裁判での様子と続く。無差別殺人まで犯しながら逮捕後、ほとんどの人が洗脳を解いているのも不思議だった。宗教全てとは言わないが、洗脳というのは恐ろしいもの。若い方にも読んでもらいたい一冊でした。最後の”解説”を国松長官が書いているのにビックリ(*_*)2023/12/14
みこ
32
医学者が関わったオウム事件の後編。後書きにもある通り、一般の人にとっては浅原や幹部が逮捕されて事件は終息したと思われがちだが、彼らの犯罪を暴くために検察ばかりでなく、医学者も闘っていた。オウム事件に限った話ではなく、薬物事件全般の裏側を知ることができたようなきがした。2023/10/06
てつ
29
衛生学者の視点からのオウム事件の全貌。著者独特の専門用語の散らばりで難しく感じたが、知らない事実もあって改めて驚く。宗教は怖い。2023/09/24
mayumi
25
地下鉄サリン事件の犠牲者達の所見の数々に胸が痛む。何の罪のない人達。改めてオウムに対して怒りが込み上げる。そして裁判。教祖を糾弾する元信徒達。それをのらりくらりと躱す麻原こと松本智津夫。読んでいて、一体この一連の事件は何だったのだろうと思う。優秀な頭脳の持ち主達が、こんな胡散臭い人間をどうして崇拝したのか。人を殺してまで得たものは何だったのかと問いたい。ちなみに解説はあの国松長官。ご自身の狙撃事件には触れておらず、あれも謎な事件だったよな…と思う。2023/11/08