内容説明
「自民党をぶっ壊す」――.急逝により終焉を迎えた小渕内閣,不人気で退陣に追い込まれた森内閣に代わって登場した小泉政権はこれまでの日本の政治・社会のあり方を大きく変えた.橋本派を標的にした政敵つぶしの手法,格差を生んだ規制改革,ワンフレーズ・ポリティクスなど,その軌跡と功罪をつぶさに検証する.
目次
第9章 突然終わった最後の経世会政権 小渕恵三内閣
1 「凡人,軍人,変人」三つ巴の戦い
2 「冷めたピザ」からの大逆転
3 自公時代の始まり
4 病いが奪ったサミット議長
第10章 「五人組」が生んだ短命政権 森喜朗内閣
1 「神の国」解散
2 加藤の乱
3 命脈断ったえひめ丸事故
第11章 自民党をぶっ壊す異形の政権 小泉純一郎内閣(前期)
1 劇場型政治の幕開け
2 「抵抗勢力」への挑戦状
3 日本を変えた同時多発テロ
4 小泉構造改革への宣戦布告
5 スキャンダルに救われた政権の危機
6 電撃訪朝
第12章 熟議なき自衛隊海外派遣 小泉純一郎内閣(中期)
1 「小泉ワンマン内閣」の足場固め
2 ブッシュとともに
3 舞台を去った長老たち
4 サマワの宿営地
5 年金参院選
第13章 禁じ手使った「刺客選挙」 小泉純一郎内閣(後期)
1 攻防・郵政民営化
2 真夏の「関ヶ原」
3 劇場政治の店じまい
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しーふぉ
23
小渕内閣から小泉内閣まで。 小渕政権の地域振興券と2000円札発行は何だったんだろう?まあ、小渕さんがやりたいのではなく、公明党の意向に沿った政策だったのだけれど… 小泉政権はアメリカから言われたことは絶対にやる政権だったのがよく分かった。政策の良し悪しよりイメージ優先の政権選択の源となった。2017/10/21
ほうすう
13
小渕・森・小泉内閣を描く第二巻。個性という面では小泉さんが抜群ではある。地味ながらに小渕さんも堅忍自重な面や気配り的な面で首相に漕ぎつけた感覚は分かる。森喜朗という人物が分からない。気が付いたら幹事長という重役にいていつの間にか首相になっていた。強い権勢欲や政権をとってやりたいことのようなものも感じないしよく分からない人である。この本の記述から伝わってこないだけかもしれないが。2024/05/05
スプリント
12
改めて小泉政権の異質さに気が付かされた。 森政権のダメっぷりの反動や、日本人の判官びいきという特性が生み出した極めて異質な政権だったのだと思うが これくらいのリーダーシップが日本には求められているのかもしれない。2024/07/01
Piichan
11
いわゆる「加藤の乱」が失敗してから自民党の派閥は競争することを避けるようになったと思います。それだけ1990年代の自民党が苦難に見舞われてきたと言えるのですが。2018/01/16
ぐうぐう
10
『平成政治史』第2巻には、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎と、三人の首相が登場する。しかし読み終わると、小泉純一郎の印象しか残らない。5年5ヶ月という政権の長さもさることながら、のちに劇場型と呼ばれるその大胆不敵な政権運営が、自民党どころか、日本政治の、いや、日本社会そのものすら変えてしまったのだから。後藤謙次は、そんな小泉政権の功罪を詳らかに検証していく。(つづく)2014/07/09