内容説明
定年間際の高樹良文警視、56歳。隠居所のような捜査一課分室でライターを分解していた。あと少しで火が消える。最後の事件も平凡なやくざの抗争だった。男を殺害した犯人は自首。だが、その裏に潜むもっと大きな闇の存在を高樹は嗅ぎ付けていた。大胆な捜査と周到な罠。かかったのは、絶対に会いたくない人間だった。因縁。悔恨。闇。銃声――。老いぼれ犬・高樹の中の獣が深く沈んでゆく……。老犬シリーズ最終幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
65
〈老犬シリーズ〉3作目、最終話。もちろん華やかなハッピーエンドを期待していたわけではない。それにしても痛いよ、これは。そしてまさにハードボイルド。56歳になった高樹良文はまだ刑事を続けていた、そして妻子もいる。今作はヤクザの抗争から始まる。複雑に絡む人間関係を読み解きながら核心に迫る捜査はもちろん、登場人物の漢としての魅力がたまらない。危険なのに目が離せない男たちを追いかけてしまう。時代は変わっても人の奥には変えられないものがあるのか、そんなことを考えて読了。2024/05/05
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
26
三部作の完結編。 時代は平成、高樹良文警視56歳。 刑事という仕事の中に閉じ込め続けた「けもの」。 自分から踏み込んでしまった因縁。 ふるさと「孔雀城」への帰還…。 北方ハードボイルドを゙たっぷり堪能でき、良かった。 真っ当な生き方を゙していない人々が、なぜか渋カッコいい。 他の高樹刑事登場作品も読んでみたい☆2023/09/15
Nobuko
4
老犬シリーズ 完結編 やっぱり高樹と田代の物語 北方さんの文体というか流れすきだな2023/06/05
あいあい
1
「老犬シリーズ」完結編。老いぼれ犬高樹良文の最期(?)。これぞ俺の愛した80年代ハードボイルド。そこここに北方節があって「ああ、かっこいい……」、それにシリーズそれほど間を置かずに読んでおり名前に、経緯に記憶があるので「ああ、たまらん……」 そういう箇所に付箋をつけていたら,都合25箇所に。ああよかった。老いぼれ犬の登場する作品、再読しようかな。それにこのシリーズも、十年くらいしたら、また三部作通し読みしよう。 2023/06/12
にやり2世
0
邪魔だけはしないでくれ松井と思う気持ちは最後まで変わらず。終盤の高樹の言葉を読みながら予感したことが当たってしまった。このシリーズを読み終えたくなくてページをのそのそめくってた。2025/08/13