内容説明
終戦直後。母親を病気で失い、父親が復員してこない良文は、盗みを繰り返しているうちに、浮浪児狩りに捕まる。だが、収容施設で親友の幸太と再会、二人は収容所を脱走して、飢えをしのぎながら、厳重に守られた防空壕の隠匿物資を強奪しようとする。食うや食わずの生活。多くを大人に搾取されながら、盗んだ洋酒や煙草を闇市で売りさばいて命を繋ぐ。望まぬ早熟。仲間の裏切り。闇。魂を毀されるような暴力を見せつけられ、良文の中に獣が生まれた。老いぼれ犬と呼ばれた高樹良文刑事の眩い刹那を描くシリーズ第一弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マムみかん(*感想は風まかせ*)
24
高樹良文刑事を゙主役にした三部作の1作目。 今作は、終戦直後の少年時代。 わずか13歳の良文と幸太が、「二人合わせると二十六だ。立派な大人だぜ」と強がらなければ生きていけない非情な世界に圧倒される☆ 2023/09/04
ブゥりん
8
初読みの作家さん。ずっと気になっていたので、本屋さんでシリーズ全部購入。戦後の混乱期。大変な時代を生き抜く少年たちの話。その描写がとてもリアルで、読むほどに苦しい。良文や幸太がこのあとどのように成長するのか。とても楽しみ。彼らの人生を見届けたい。シリーズ2へ。星4★★★★☆2024/03/19
Nobuko
4
久しぶりに北方謙三さん かなりきつい話だけど 老犬シリーズ読みましょうっと2023/04/28
あいあい
3
三十年の時を経て再読。たまらん。いいわぁ。としか言えん。これぞ、俺の愛した北方ハードボイルド。佐々木譲氏の解説が、これまたいいい。2023/04/26
柴犬のそら
1
初読みの作家さん。帯につられて購入。高樹刑事の幼少期の話だとか。高樹刑事を知らないが、問題なくスラスラと読めた。終戦直後の話には興味があったが、こんなにも過酷なのかと胸が苦しかったし、恐怖でもあった。次巻もあるようなので、期待して読みたい。2023/07/06