内容説明
ミチクサが多いほうが、人生は面白い!
てっぺんには裏から登ったって、足を滑らせたっていい。あちこちぶつかったほうが道は拓ける。
夏目家の「恥かきっ子」金之助は生まれてすぐに里子に出されたり、年老いた父親にガラクタ扱いされながらも、
道楽者の祖父の影響で子供ながらに寄席や芝居小屋に入り浸る。学校では異例の飛び級で頭角をあらわし、
心のおもむくままにミチクサをして学校を転々とするように。その才能に気付いた兄に英語を仕込まれ、
東京大学予備門に一番で合格した金之助は、そこで生涯の友となる正岡子規と運命の出会いを果たす。
伊集院静がずっと共鳴し、いつか書きたかった夏目“漱石”金之助の青春。
日経新聞の人気連載小説を書籍化し、「日曜日の初耳学」はじめ朝日新聞や「週刊現代」各紙誌で取り上げられ
「ラジオ深夜便」「大竹まことゴールデンラジオ」でも話題になった注目作が文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
197
僕は漱石の熱心な読者ではないが、それでもこの小説を読むと、また漱石を読み返したくなる。多分にオマージュを含んでいる。なぜ僕は漱石に惹かれるのか?それが何となくわかる。シティ・ボーイ(江戸っ子)で真面目、博学秀才で、情にも熱い。粋、なんである。漱石も愛した落語のリズムが(それは漱石文学の呼吸でもあるが)会話によく活かされている。ときに、あれ?これ漱石が主人公だよね?とおもうような、周辺へウロウロ道草しながら、漱石という人物へ光をあてる。上巻は熊本五高時代まで。さて小説を書きはじめる下巻が愉しみだ。⇒2023/07/17
じいじ
81
伊集院さんが描く「漱石物語」は、想像を超えて面白いです。ご本人夏目漱石が書いた小説は、永年にわたって愉しませてもらってきたが、漱石の人物像については、ほとんど未知だった。どうも幼少期の漱石は、口数の少ない大人しい少年だったようだ。友人正岡子規と親交があったのは周知していたが、その中身は知らなかった。とにかく二人の会話が面白い。「君は英語が達者だから外交官に、ゆくゆくは外務大臣はどうだ」との子規の言に…「ボクは政治家や役人は性に合わん」と漱石はすべもない。嫁さんをもらって…、一気に佳境の下巻へ—。2023/08/14
piro
37
夏目漱石(金之助)の生涯を描いた一作。金之助の誕生から幼少期、そして帝大を出て松山、熊本で教職に就いた頃までが描かれます。漱石としての作家デビューは未だ。金之助だけでなく、親友(畏友)であった正岡子規らの姿も描かれており、明治期の知識階級の様子がとても興味深い作品でした。特に子規との交流はまさに青春であり、友情の美しさに心打たれます。子規と共に俳句作りに勤しむ姿はなかなか楽しそう。そして偏屈な印象を持っていた金之助の、道草を楽しむ姿や意外な優しさを知ることができたのも良かった。2025/12/27
一笑
25
夏目漱石の生涯を描いた作品。上巻は漱石(金之助)のおいたちから、東京帝国大学、愛媛県尋常中学校英語教師、熊本第五高等学校教授までの生活が描かれている。森鴎外やら秋山真之、秋山好古、寺田寅彦、正岡子規等々、蒼々たるメンバーが登場する。正岡子規の文学というか俳句に対する熱い想いが描かれており、その人柄の描写と相まってどちらが主人公か分からないほどだった。「吾輩は猫である」や「草枕」等に繋がるエピソードも盛り込まれていて面白かった。ミステリーばかり読んでいたので少し戸惑ったけれど、どんどん引き込まれてしまった。2026/07/11
RRR
18
夏目漱石という文豪の軌跡の人生を描いた人間ドラマの上巻。僕はこの作品がきっかけで、夏目漱石という人物を身近に感じられました。教師として、文学者の片鱗を見せる者として、細やかに丁寧に展開されてゆきます。それは血肉の通った、等身大のドラマなのです。正岡子規との友情のやり取りが微笑ましく、漱石にとっては、彼無くしては生きていけないというほどの、存在の大きさを感じました。読みやすいというのも、評価されるポイントである。2026/03/08
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