内容説明
舞台はなんと女子刑務所!
「後悔病棟」「希望病棟」に続くシリーズ第三弾!
神田川病院の“金髪女医”太田香織と看護師・松坂マリ江は、ひょんなことから女子刑務所に派遣される。当初は、受刑者との距離を感じていたが、同僚から授かった不思議な聴診器を胸に当てると――
惣菜四三〇円の万引きで懲役二年を科せられていたり、夫からの執拗なDVに耐えきれず殺害に及んでいたり、はたまた悪い男にそそのかされ、クスリに手を出していたり、と彼女たちの切実な事情が見えてきた。
二人は受刑者たちとは個人的に接してはならないという禁を破り、あっと驚く方法で解決に乗り出してゆくが……。
「受刑者は私だったかもしれない――
そんな想像を読者に抱かせる本書を
心からお勧めします」
村木厚子さん(元厚生労働事務次官)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
185
病棟シリーズの第3弾!あの聴診器は今回パツキンの女医・太田香織の元へ。加えて相方の看護師・松坂マリ江も加わるのだ。なんたってタイトルからも分かる通り今回は女子刑務所に半年間派遣されるのだ。 3弾目にして一番しっくり読めた気がした読後感。あり得ないけど、私にもニ、三日貸してほしいな‥(そっち?)マリ江さんのキャラが好かったなぁ。村木厚子さんの解説も面白く読んだ。2023/07/06
ノンケ女医長
155
ひたすら重荷を背負って生きてきた女性たち。少しでも恵まれた生育環境だったら、年下の刑務官から番号で呼ばれるような扱いを受けずに済んでいたのか。一人で抱えられない、あまりにも大きな問題で服役することになった。古びた聴診器を胸に当てられ、心が揺れ動く。対人援助職の大原則は、自分と相手に適切な境界線を引くこと。そんな距離など全く意に介さない、37歳の医師と、52歳の看護師。偶然出会った受刑者たちに、とことん注ぎ込む情熱さと正義感が、爽快だった。社会の大切な部分に、きちんと光を当てる著者の姿勢に今回も感動。2023/07/25
reo
135
神田川病院シリーズ三作目。今回、魔法の聴診器を託される医師は”金髪女医”の太田香織と看護師の松阪マリ。最もマリは料理が全く出来ない香織の弁当や夕飯を作ってやる見返りに、聴診器を回してもらう役回り。常習万引き犯、夫のDVに耐え切れず殺害してしまう殺人犯、覚せい剤常習使用犯、孫が虐められ自殺しその事実を隠匿した教育長の自宅に放火した放火犯などの、心の言葉を魔法の聴診器で聴き取り解決していくというもの。何時もながら心温まるストーリー。でも…へその緒の付いた赤ちゃんはあれで解決なのかナァ❓知らんけど🤔2023/11/25
Karl Heintz Schneider
122
直前に読んだエッセイの中で著者は自分の著作に共通するテーマは女の生きづらさだと書いている。女子刑務所と言う場所はまさにその縮図。受刑者には様々な罪状でここにいるわけだが、そのほとんどは男に起因するもの。男に騙されてシャブ漬けになった女性、夫のDVに耐えかねて夫を殺してしまった女性、あんな男に出逢わなければ。罪を犯したことは悪い事ではあるが全ての原因は彼女自身によるものではない。刑務所に入るような人は特殊な人だと思いがちだがいつ自分がそうなっても不思議ではない。著者は本書を通してそう言いたかったんだと思う。2023/08/28
おしゃべりメガネ
108
シリーズ第3弾で、いよいよ個人的に推してるキャラ、金髪毒舌の医師「香織」さんが満を持して登場します。しかも相棒もなかなかのインパクトキャラ、ベテラン看護士の「マリ江」さんとコンビを組み、舞台はなんと女子刑務所へ。後輩から知らぬ間に引き継がれてるあの不思議な'聴診器'で、本作も様々な本音&真実が飛び交います。過去2作はどうしても'死'から離れられないテーマになかなかシリアスでしたが、今回はちょっとソフト路線に。貧困、覚醒剤、殺人、放火と様々な理由で刑に服してる面々を「香織」先生達がしっかりと'診察'します。2024/01/16