内容説明
土下座は屈辱にあらず、悪を斬る正義の剣だ!
廻り方同心・小野寺重吾は、ただならぬものを見てしまった。
昼下がりの北町奉行所で土下座をする、牧野駿河守成綱の姿だった。
土下座相手は三十代半ばの侍で、身なりからしてどこぞの用人あたりであろう。
歳といい、武士としての格といい、奉行よりうんと下のはず。
しかし、重吾は、
(……なんと、きれいな土下座であろうか)
風で桜の舞い散る中、奉行の姿に見惚れていた。
まるで茶道の名人か、あるいは剣の達人のする謝罪ではないか、と――。
小悪を剣で斬る同心、大悪を土下座で斬る奉行の二人組が、江戸城内の派閥争いがからむ難事件「かんのん盗事件」「竹五郎河童事件」に挑む!
そして、いま土下座の奥義が明かされる!!
小野寺重吾……北町奉行所の廻り方同心。あだ名は「しゅうとめ重吾」。
牧野駿河守成綱……北町奉行。江戸城内で「どげざ駿河」と呼ばれる。
八重……重吾の妹。「黙っていれば小町」と囁かれるほどの美形。
遠山左衛門尉景元……南町奉行。人呼んで「いれずみ金四郎」。
財前孝三郎……南町奉行所の廻り方同心。周りは「花がら孝三郎」と呼ぶ。
夜目鴉の菊……関八州を股にかけた大盗賊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のびすけ
26
町奉行の牧野駿河守、人呼んで「どげざ奉行」。見惚れるほどの見事な土下座で相手を手玉に取り、江戸城内の派閥争いが絡む難事件を解決に導く。牧野の土下座に込めた矜持が胸を打つ。あっぱれ。2023/07/24
onasu
19
新任の北町奉行・牧野駿河守成綱は、必要とあらば相手を選ばず「土下座」することから「どげざ駿河」などと陰口をたたかれているが、それは特有の処世術で奉行所内で目をつけたのが、主人公の廻り方同心・小野寺重吾。こちらは真面目一辺倒で、同僚の細かなところにまで口を出す悪癖から「しゅうとめ重吾」などとあだ名されているが、奉行からは土下座の指南を受けたりも。 そんな2人での捕物3話は町中の事件でありながら、千代田のお城の権力闘争の影もちらつき、あの御仁が敵役となっているのも一興。期せずして一気読みになった快著でした。2024/07/08
スプリント
10
しゅうとめ重吾が実は剣豪という裏設定もよし。 続編が読みたい。2023/07/01
ワンモアニードユー
3
コミカルで筋立てもしっかりした時代小説で、読んでいる間は没入して楽しめるのだが、なぜか読後感が軽い。なぜだろう。理由はわからないのだが。次作が出ればわかるだろうか。2023/07/31
麻友
3
図書館で借りて読了。奉行の事、何かやたらとペリーと対峙した男って書いてたけど、続編出るのかな?素晴らしく美しい土下座をする奉行としゅうとめのように細かい同心の話。映像化しても面白そう。とにかく続編に期待!2023/07/02
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