内容説明
年齢不詳の探偵・濱地健三郎には、鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。新宿にある彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の強面刑事も秘かに足を運ぶほどだ。助手の志摩ユリエは、得技を活かして、探偵が視たモノの特徴を絵に描きとめていく―。郊外で猫と2人暮らしをしていた姉の失踪の謎と、弟が見た奇妙な光景が意外な形でつながる(「姉は何処」)。資産家が溺死した事件の犯人は、若き妻か、懐具合が悪い弟か?人間の哀しい性が炙り出される(「浴槽の花婿」)など、驚きと謀みに満ちた7篇を収録。ミステリの名手が、満を持して生み出した名探偵。待望のシリーズ、第2弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maxseki
22
シリーズ2作目。相変わらず濱地健三郎があっさり事件解決してしまうものの、そこまでの過程が面白い。意外な解決となる「姉は何処」、得体の知れない怖さを感じる「それは叫ぶ」、幽体離脱がエスカレートしていく「お家がだんだん遠くなる」など。どの話にも惹きこまれた。2024/01/07
TAMA
20
2023年5冊目。シリーズ2冊目。安定の面白さでした。2023/02/28
今夜はカレー
19
心霊探偵濱地健三郎第2弾。ゾワっとしたりニヤリとしたり振れ幅の大きい七つの短編。幽霊が何故そこに出るのか理由や言い分が面白かった。冒頭からの『ホームに佇む』『姉は何処』『饒舌な依頼人』テイストの豊富さでまいった。霊現象の怖さもあるが濱地健三郎の『人間の愚かさの底を、わたしはまだ見ていない』という言葉で心と体の芯が冷えた。『彼女を見るのは一瞬だけ。それを永遠とするのです』かっこいい。2023/06/16
佐倉
16
濱地健三郎2巻目。怪異の存在する世界において紳士然とした心霊探偵があくまで冷静に謎を解き、霊を払っていく……この雰囲気が読んでいて心地いい。払う方法は必ずしも退去を迫ったり打倒したりというばかりではない。説得、脅し、きっかけとなる行動を促す……とバラエティに富んだ解決法が楽しかった。『ホームに佇む』と『饒舌な依頼人』『ミステリー研究会の幽霊』は解決法が鮮やか。『お家がだんだん遠くなる』『それは叫ぶ』における霊能者としての側面がクローズアップされる闘いもワクワクできた。2023/02/06
きょん
15
心霊探偵シリーズ2作目。自分の中で何故か野村萬斎さんに変換される濱地探偵の霊能力者としての凄みも感じられる「お家が段々遠くなる」が一番ゾッとした。2023/02/12