内容説明
心霊探偵・濱地健三郎には鋭い推理力と幽霊を視る能力がある。事件の加害者が同じ時刻に違う場所にいる謎、ホラー作家のもとを訪れる幽霊の謎、突然態度が豹変した恋人の謎……ミステリと怪談の驚異の融合!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キナコ
74
シリーズものと知らずに購入。しかし短編の読みきりのため、違和感なく読了。珍しく怪異をメインとしたホラーミステリー作品。男女コンビが心霊現象や怪異を解決していく。テンポよく進む2人の会話も面白く魅力的。前作も読みたいところ。ホラーといっても、グロさは少ないしホラーが苦手な人でも読み進めると思います。2023/05/21
papako
72
短編集に登場した濱地心霊探偵の作品集。心霊が教えてくれるけれど、ちゃんと推理小説になっている。短編集の濱地の不思議な空気感が薄れて、普通の探偵になっていたのが残念。助手のユリエの存在がリアルにしているのかしら。事件も俗っぽいものが多いし。推理小説としては面白かったけど、ちょっと残念。2021/01/27
えみ
66
幽霊は存在に畏れるけれど、これでいて案外素直に感情を表現してくれる。一方人間は、存在自体に畏れるものは何一つないけれど、嘘をつく。心のうちの悪意や憎悪を何もないように装っていい人を演じることができる。本当に怖いのは人間だ。心霊探偵が、超常現象に悩まされる依頼人の依頼を受け、霊と対峙して解決していく奇抜小説。著者が有栖川有栖というだけでチープになりそうな心霊現象も、絶大な信頼感で安心して楽しめた。視えないものを視るという責任感と使命感を纏った濱地健三郎には霊も敵わない。軽快な謎解きが必見の、怪異ミステリ。2022/11/03
雪
65
有栖川作品の中では、怪談ものは何となく食わず(読まず?)嫌いしていた濱地健三郎シリーズ。想像していたのとは違ってあまりホラー色は強くなく、この世に思いを残したまま亡くなった人間の心理とうまく合わさった上質ミステリーでした。作品全体に漂う落ち着いた雰囲気が何ともおしゃれ。続編も楽しみです。2023/01/05
sin
65
「幽霊の正体みたり、うらめしや」解説で「…怖いものが苦手という方もどうか安心して…」とおっしゃるが怪異とされるものを“枯れ尾花”として解き明かすのではなく“幽霊”を登場させてしまうのだから怪談である。犯罪が霊として視えているから探偵はそこに至る経緯を解き明かす。所謂、反則ぎみミステリであり、殺人と云う犯罪があってその怨みが幽霊となって現れる単純な図式が怖くないとも云える。話は逸れるが、いっそのこと本当に幽霊がいれば世界から殺人と云う愚かな犯罪は無くなるのかもしれない。戦争だってしていられないだろうに…。2021/05/26