内容説明
大好きなつぐも叔父といとこの賢三君がぼくたちと一緒に暮らすことになった。父が亡くなり姉も嫁いで寂しくなった食卓は再び賑やかになり、小学校最後の夏休みは冒険の毎日だった。そして長兄の婚約、次兄の失踪などがつづく中、ぼくは中学生に。その頃にはうっすらと「我が家の事情」もわかるようになってきて…。「『岳物語』の主人公が、六年生になったあたりで書くのをやめたのがずっと気になっていて、自分はその年齢の頃に、いったい何をして何を考えていたのだろうか、ということがえらく気になった」(あとがきより)――こどもから少年に変わってゆく時期を綴ったシーナ的私小説、最終章。
目次
ニワトリの三つのタマゴ
鉄塔登り
母の大作戦
賢三君のヒコーキ
怒りの茶碗蒸し
ニワトリ鍋の夜
いくつかの事件
屋根の上探検隊
自転車ヒコーキ大作戦
怪談 カリコツ
ボールド山の事件
さようなら、ジョン
風景の色が踊っている
あとがき
南の島のジョン 文庫版あとがきにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
時代
9
椎名さんの私小説。少年から中学校まで。犬のジョンとの悲しい別れ◯2022/12/28
oooともろー
3
椎名さんの中学時代。正編に比べるとかなり暗い。愛犬・ジョンの末路は哀れ。2024/08/13
桐葉
2
中学生になったシーナ少年。家庭の秘密や事件が続く。犬との別れが悲しい。あとがきが心にささった。2024/08/18
平坂裕子
1
父亡き後、母の大作戦には驚かされた。つぐも叔父、息子賢三君がまた一緒に暮らすようになり、その日々は少年時代、自然の中で楽しいものであっただろう。崇兄さんの自殺未遂、入院、そして愛犬ジョンとの突然の別れ(南の島で会えたのは、ジョンだと思いたい!)時が経ち、家族の知らなかった事実を知り、理解していったのであった。2023/09/12
北刻堂
1
何となく、これまでの氏の著作でも書かれていたエピソードが散見される。カバーの生まれ年を見ると、椎名氏も、もうすぐ80才になるのだな。そういった意味で、少年時代を改めて再整理するために書かれた自叙伝とも受け取れる2023/09/09