内容説明
シーナ家の長男、岳少年。オトコの自立の季節を迎えている。父子の濃密でやさしい時代は終わろうとしていた。ある日、エキサイティングなプロレスごっこで、ついに岳は父の体を持ち上げたのだ。ローバイしつつも、息子の成長にひとりうなずくシーナおとう。カゲキな親子に新しく始まった、キビシクも温かい男の友情物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
61
椎名さんとちょっぴり成長した岳君の付かず離れずの関係が良い。岳君の中学校入学までのお話。憧れの父と息子の関係と思っていたのですが、この作品を書いた後、岳君から「お父、こんなもの書くな!」と涙ながらに訴えられたそうです。中学生といえば多感な年頃ですからね。このあとしばらく続編が出なかった訳がわかりました。★★★★
優希
51
岳少年の成長をあたたかく見守る人々。親離れの年頃というのが見え始めました。厳しいけど優しい物語だと思います。2023/06/14
SOHSA
35
《購入本》本棚の奥の奥から本書が出て来た。なぜか前巻「岳物語」は見つからない。買ったのは発刊されてすぐ、私も20代だった。当時は若者目線で本書を読み、主人公岳少年に共感を覚えた。あれから40年近くの時間が過ぎ、改めて読んだ今回は父椎名誠に紛れなく共感した。子どもの成長とともに少しずつ親離れしていく様子は嬉しい反面、ほんのりと哀しい。行間から父の哀しみが立ち昇ってくる。本書はおそらく作者の子離れの小説でもあるのだろう。時は流れゆき、それぞれに変わっていく。それが人生であることを作者は静かに語りかける。2023/01/28
抹茶モナカ
27
椎名誠さんの息子さんの岳少年が小学校高学年から中学校入学辺りの時期の私小説。主に家庭を材にした私小説なので、庄野順三さんの作品を思い出す種類の私小説。岳少年が親離れをしてしまっていて、父と子の様子よりは、岳少年の成長に触れながらの椎名さんの私小説である印象。文章は平明で読みやすい。作家の息子さんだから、文系なのかと思いきや、思い切り体育会系の少年なので、体育会系の子供を持つ親の気持ちがなんとなくわかる。こういう育ち方をする子供もいるんだな、と、しみじみ思った。改めて、いろいろな人間がいるのだと思った。2019/10/31
藤瀬こうたろー
26
「岳物語」に続き、一気に再読。本作ではいよいよ岳くんが親離れ。小5と小6でまるで別人みたいにシーナ先生に接する場面が出てきます。特に習慣になってたバリカンを拒否するシーンは、岳くんの抗議のセリフがいかにも自我の芽生えを象徴してて秀逸です。あと、この作品の素晴らしさはかって昭和軽薄体と評された軽やかな文体の中にもそこはかとない寂しさみたいなのが散りばめられてるところでしょうね。身近な人の死だったり、学区が違うことによる岳くんと仲良し二人との別れ、そして岳くん自身の親離れ。空と桜の花びらが印象的です。2019/09/02
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