内容説明
ここは、動物の病を癒し、飼い主の心も救う場所。
動物たちとの触れ合いを通じ、私たちを究極の感動へと誘う激アツの一巻!
――縄田一男(文芸評論家)
江戸の世に、夫婦で営む動物専門の養生所があるという――。
日本歴史時代作家協会新人賞、細谷正充賞受賞の気鋭がおくる、心温まる時代小説の傑作。
谷中感応寺の境内に居を構える「毛玉堂」は、けもの専門の養生所。腕は確かだが不愛想な医者の凌雲と、しっかりもので動物好きなお美津を頼りに、今日も問題を抱えた動物たちがやってくる。治療を通して浮かびあがる、人と動物の温かな絆は、悩める飼い主たちの心も癒していき――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なつくさ
29
初読みの作家さん。コロコロの表紙絵にころっとやられて。そんなコロコロさすなんてずるいと思いながら購入。あらすじとはちょっと内容が違うかなと感じましたが、凌雲先生の動物に対する視線に共感を覚えました。彼らは人のために存在してるわけじゃない。隣に存在してくれていることに感謝をしなくてはいけないのだ。買い替え可能な物ではないし、奴隷でもない。代わりなんて存在しない家族なのだ。だから、作者の動物も何人と数えるところにうんうん、そうだよねとなった。うちのわんコロは雷、全然気にしませんよと言ったらお美津さん驚くかな。2022/11/27
椛
21
表紙が可愛くて気になっていた小説。 ガッッッッツリ獣医の話かと思うと少し肩透かしをくらうかも? 読みやすいと言えば読みやすい。 とりあえず続きも読んでみようとは思う。 2022/12/25
こうちゃん
17
まぁまぁ、面白かったです。 犬、猫が大活躍!って訳でもなく、ちょこっと良いアクセントになってる。どっぷり動物ものって訳でもないが犬、猫の生態が知れて良かった。 絵師の鈴木春信が出てきて、浮世絵のお仙も登場。 そして善次は、間違いなくあの絵師だろう。 日本画の好きな人なら、違う線から楽しめると思います。 2023/07/31
スプリント
15
優しい世界。 凌雲先生の過去まできちんと描かれていて満足できる結末2022/12/17
いろは
15
初読み作家さん。表紙とタイトルに惹かれて。面白くないわけではないけど……なにも事情も分からずに子供を預かったり、善次も最初は反抗的な態度だったのにページを捲ると素直な良い子になってたりちょっと唐突だなと思う展開や、亡くなった犬を清める準備をしてるお美津が取り込み中だと分かってるのに自分の都合を押し付けるお仙が嫌だなぁと思ったり。亡くなった犬だけでなくその飼い主も軽んじてる気がしてすごく気になった。2022/10/26