内容説明
『論語』注解史上「新注」と呼ばれる画期を成し、東アジアの儒学史に最も大きな影響を与えた朱熹の代表作。朱子を批判した仁斎『古義』、徂徠『徴』の注解も加え併せ論じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆうきなかもと
6
論語を何度も読んでいる人向け 朱子の論語集注に、仁斎、徂徠の意見もついている。朱子のコメントは、原文、書き下し文、現代語訳と、用語の注釈までついているが、仁斎、徂徠のコメントは現代語訳のみ。 また論語本文は、原文と書き下し文のみなので、論語初心者にはおすすめしませんm(_ _)m……が、 「子曰わく、仁遠からんや。我仁を欲すれば、斯に仁至る、と。」なので、めっちゃがんばれば、大丈夫かも2015/08/20
Nemorální lid
2
本著では公治長第五から泰伯第八までを注解。「子曰、仁遠乎哉。我欲仁、斯仁至矣」(p.298)と言う語句に対し、朱子、仁斎、徂徠の解釈が分かれているのが奥深さを感じる。「「仁」とは、心の徳であって、外にあるのではない」(p,298)とする朱熹に対して「心は薪、仁は火のようなものであって、自分の本性の善性をもとに求めれば迅速に至る」(p.299)と語る仁斎、そして「天下を安定させるのが仁の働きであり、本来は遠いものであることを言う」(p.299)と飽くまで先王の道と結びつける徂徠、それぞれがそれぞれで面白い。2018/10/23