内容説明
『論語』注解史上「新注」と呼ばれる画期を成し、東アジアの儒学史に最も大きな影響を与えた朱熹の代表作。朱子を批判した仁斎『古義』、徂徠徴』の注解も加え併せ論じる。
感想・レビュー
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ゆうきなかもと
8
いろいろと考えさせられる(´・_・`)一番最後の第30章に《子曰わく、教えざる民を以(もち)いて戦うは、是れ之を棄つと謂う、と》とある。意味は、〈訓練していない民衆を使って戦うことは、民衆を棄てるということだ〉となる。ちなみに、この章の前に、その訓練期間が7年であることが明記されている。戦中の学徒動員のことが頭に浮かんだ。2016/03/12
Nemorální lid
2
本著では子罕第九から子路第十三までを注解。本書から孔子の弟子である子貢、曾子、顔淵などが話の中心となっていく。顔淵の死に際して嘆く孔子などには朱熹、仁斎、徂徠共に余り注釈が無いのは、死における論語の章のそのままの意義を意味とした為だろうか。「子曰 、語之而不惰者、其回也与」(p.73)の章には弟子顔回の誠実さを物語っているが、純粋性を抜粋するならば、朱熹の思想書と化している注解書の中でもここのみぐらいだろう。それほどまでに道学と癒着している当著において、孔子の悲愴に注解しないのは別の意味があるのだろうか。2018/10/23