内容説明
弾幕の迷宮、追憶の悪魔――エラリー・クイーンに捧ぐ柄刀一版“国名シリーズ”最新刊。カメラマン南美希風と法医学者エリザベス・キッドリッジは愛知県のアメリカ領事私邸で起きた謎だらけの射殺事件に巻き込まれる。さらに、琵琶湖のクローズドサークルで発生した二ヶ所同時の殺人事件は、かつてない危険な要素に満ちていた。珍しく感情を露わに事件に挑む名探偵・美希風……悲劇の連鎖を食い止める人知を超えた大胆な仮説とは!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
66
「全ての不可能を除外して最後に残ったものが如何に奇妙なことであってもそれが真実となる」コナンの人魚話でも引用されたこの言葉、実際に発言された「アメリカ銃」だけじゃなく「シャム双子」にも立派に当てはまる。本家同様「シャム双子」で山火事起こすとか(双子縁者集まりまくりに何処のカレリアだと突っ込みながら)、メインキャラ命の危機とか(帯の引用よりは低い気がしたが)別の意味でも本気過ぎる!いやまあ、愛の強いオマージュであり、ロジックもきっちり凄いとこから出てるんだけど、真相がふたつともいつもよりぶっ飛んでると思う。2023/06/07
rosetta
25
★★✭☆☆好きな作家さんなのだが今作は物語にも文体にも距離を感じたままで全く読書に身が入らなかった。キャラクターの見分けがつかず、トリックも牽強付会に感じた2022/08/15
だるま
14
エラリー・クイーンの国名シリーズになぞられ書かれた柄刀版国名シリーズの第3弾。探偵・南美希風シリーズでもある。第1弾が短編集、第2弾が長編で、今回は中編2作。自分としてはこの中編の長さが一番しっくりきた。2作共、論理的な本格ミステリだったが、特に第2話の『シャム双子』はシリーズ中でも屈指の傑作だと思う。面白かった。そして、本家クイーンの作品中で使われている重要ポイント(『アメリカ銃』での銃創の角度、『シャム双子』での迫る山火事)が、こちらでも巧く組み込まれているのに感心した。クイーンへの愛着を感じる一冊。2022/08/28
コチ吉
10
クイーンのアメリカ銃もシャム双子も、昔の訳で幼い頃に読んだきりなので、朧げながらの記憶しかなく、本作が本歌取りとしてどのように意図されどこまで成功しているのか、正直なところよく分からない。事件には、あり得ないような偶然や論理で説明できない現象が見られるが、あくまで作品を成り立たせるための手段であって、なによりその先の展開に十分な説得力を持たせているため、不自然と感じない。クイーンの両作は新約で読まねば。2022/08/09
ムーミンママ
6
中編2作品。おっ!!この謎は分からん汗 ちょっと混乱したけれど楽しく読了。両方ともクイーンの作品をなぞられたもの?2022/11/22