内容説明
東京は壊れつつある。見慣れぬ街に変わりつつある――。
1945年。B29による空襲の翌朝、防空壕の中で女性の遺体が発見される。首には刃物による切り傷が。無数の遺体と目の前のたったひとつの遺体。
これは戦争ではない。個人に対する犯罪だ――。
捜査を進める京橋署刑事の高峰は署長から思わぬ言葉を聞かされる。「あれは、空襲の被害者だ」。殺人事件のもみ消し――そしてまた殺人が起きる。
高峰は、中学からの同級生で特高に籍をを置く海老沢とともに、終戦をまたいで「戦時下の殺人」の犯人を追い詰めていく。
警察小説の旗手が満を持して描く、壮大な警察大河シリーズ、ここに開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
447
堂場作品を全作読破している友人からも勧められていたシリーズ。まぁなんだコレは犯人探しのミステリではなく、戦中戦後のまさしく「焦土」を作家さんが描きたかったのだろうと思う。男同士のタテヨコ社会、というか。いつもに増して女性登場人物が添え物程度に描かれているのが哀しいが、時代もあるのだろう。とんかつ好きの堂場さん(刑事のとんかつ率高し)、今回は目黒の屋台?のとんかつ屋出てきて、これは「とんき」だよねー。行ったなーバブルの頃、当時から名店の名高かった。シリーズ一気に読むつもり。2025/08/20
KAZOO
102
堂場さんの昭和時代の刑事の生き方を描いた三部作の最初のものです。ここでの時代背景は昭和20年から21年にかけての丁度戦後となった時代の物語です。主人公は京橋署の刑事で友人が戦中は特高での役割を果たしていました。若い女性が切り殺される事件が起こります。事件は上からの指示でもみ消されますが、この刑事と友人が捜査を続けていきます。この主人公の趣味は芝居を見ることで、芝居の関係者が関連してきます。戦時中の悲劇が人間を変えていく、ということを言いたかったのでしょうか?2023/02/01
あすなろ
96
堂場氏が描く終戦と戦後。その描写を味わいながら読了した。僕が今迄読んできた同時代の描写とちょっと違うな、と。それは否だという事では決してなく、逆にこういう様であったかと。氏はこのシリーズを描く為にずっと調べられていたのだろうと思われる描写だったのである。それは、警察だけでなく、特高や芝居にも現れている。なお、事件自体も終戦間際から戦後へと渡り面白い。堂場氏が描く日本の警察・大河シリーズ2巻も読んでいきたい。2023/02/26
えみ
63
時代が変われば「正義」も変わってしまうのか?戦時下の警察、戦後の警察、警察の在り方、刑事という存在。凄い!まだこんな警察小説の見せ方があったなんて興奮が止まらない!「日本の警察」大河シリーズ三部作の第一弾。戦時下の焦土化した東京の地でひっそりともみ消された殺人事件。しかし決して事件を手放さなかった一人の刑事がいた。国家の歯車、組織の歯車、戦中戦後から見えてくる警察官の立場が「守るべきもの」とは何か?「正義」とは何か?という壮大な問題を提起してくる。覚悟を決めた刑事が犯人を追い詰めた時こそ時代が変わる時だ!2022/05/22
まこみん
50
前々から気になっていた堂場さんの刑事シリーズ。戦中から戦後にかけての社会体制がガラリと変遷した中での刑事業。幼なじみの京橋署の高峰と特高の海老沢の、立場の違いを越えた信頼関係。戦後になって戦時中に解決出来なかった事件を執念で追い詰める高峰が、自宅待機になり妹を殺され抜け殻の様な日々を送る海老沢に、事件に関わって前を向いて欲しいと相談を持ち掛ける。作中の舞台台本は、そういう事だったと後で気付く。心に深く戦争を引き摺った人間の弱さは取返しが付かなく哀しい。2024/12/29
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