内容説明
一九五二年、サンフランシスコ講和条約発効直前。東京都内の駐在所が爆破された。死者は二名。ひとりは駐在巡査、もうひとりの身元は不明。
刑事の高峰は、共産党過激派の関与を睨むが、秘密主義の公安から情報が流れず、捜査は難航する。高峰は、親友で公安に所属する海老沢に協力を仰ぎ、共同戦線を張って真相に近づこうとする。
だが、あくまで個人への犯罪として捜査する「捜査一課」に対し、事件を利用し過激派の瓦解を目論む「公安一課」という相反する立場が、ふたりの関係に影を落とす。
時代の乱れが、警察という「組織」の矛盾を生み出していく。
戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第二幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
468
シリーズ2作目。幼馴染でありながら捜査一課と公安一課にわかれて同じ事件を捜査する高峰と海老沢。上からの指示を無視して情報を交換したりもするが・・・。公安が絡んでくるとなにやらわたしの好みの刑事ものとはいいがたく、人間関係も複雑(登場人物も多い)で読みやすいとはいえなかった。ラストもわたし的には不完全燃焼。次作で一気にきれいに丸めてもらいたいものだ。2025/08/24
あすなろ
101
敗戦で何か変わったか。日本人の本質が一回の敗戦ぐらいで変わるとは思えない。そんな描き込みから始まる堂場氏の日本の警察大河シリーズ第二巻。過激派との闘いと共に特高から公安に変貌した時代。破防法が成立もした。そんな時代に警察と公安とマスコミに分かれても友情は貫けるのか。その結果迄が描かれ第二巻は終わる。個人的には特高から公安へ変遷しその動きに元々興味あり、興味深く読了。こうしたテーマに対し、堂場氏の登場人物への卓越した心情の描き込み筆が合間って惹き込まれていくのである。2023/04/23
KAZOO
98
シリーズの2作目で昭和の27年代ということで当時の政治状況などはまだまだ安定はしていませんでした。その中で刑事と特高出身の公安になった友人との物語りが語り継がれます。警察の中での刑事と公安の役割が戦前とはあまり変わっていないことも知らされます。当時は世情もまだまだ安定しているとは言えず陰謀めいた事件なども起きていたということでの中での主人公たちの役割が書かれています。2023/02/02
えみ
70
信じる正義の道を違える時、友という関係さえ失くしてしまうのか。戦時下にもみ消された殺人事件を協力しながら解決して数年、警視庁捜査一課の刑事として事件捜査に携わる高峰と公安に所属する海老沢の正義が遂に“対立”してしまうのか。動揺さえ切ない。駐在所爆破、警察官死亡…という事件に過激派の関与が疑われた事から「個人」と「国」を天秤にかけた敵対捜査が始まる。闇を抱えた正義が成立する意味とは?友情を裂いてまで従属する組織の価値とは?息が詰まりそうな緊張感に「変わるという事」の二面性を見た「日本の警察」シリーズ第二弾。2022/05/22
GAKU
36
捜査一課の刑事高峰と公安の刑事海老沢。双方が望む事は国民と国の平和ではあるが、それぞれの立場の違いで袂を分かつ事に。幼馴染で親友だった二人の今後は?引き続き第3作へ。 2024/09/09
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