内容説明
宿敵・源義朝を倒し、ついに天下を手中に収めた平清盛。しかし、時の流れは平家の独尊を許さなかった。
宿の神は、ただそこにあるだけ。亡き者たちを背負って歩く西行の胸のうちは……。
著者畢生の大河伝奇小説の傑作、堂々完結!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
豆電球
10
平安末期の華々しくも澱んだ時代に、国を覆そうとする大いなる魔物の友として生き、その栄枯盛衰を見届けた西行の一生。心にずーんと残る人物です。しかし鹿ヶ谷の陰謀辺りからはどうしても「平家物語」のなぞりになってしまうのですよね。そこに新たなエピソードや心情を加える余地がないほどに「平家物語」は精度の高い読み物だという事なのかも知れません。東日本大震災後の時に東大寺が莫大な借金をして東北に義援金を送った話に当時胸がじーんとなっていたのですが、当時奥州へ東大寺再建の勧進を西行が引き受けていたのですね。歴史の尊さ。2022/05/27
かめゆき3
5
一気読みでした。平家の盛衰をこんな立ち位置でいた人がいたとは知らなかった。平安の貴族のどろどろが凄まじいのはもちろん知っていたけど、それをこんな立ち位置で見届けるのはさぞ、苦しかったのではと思う。長く生きるという事は幸せなのか、不幸なのか。西行さんの最後が本当にこうだといいな。 2022/03/12
北刻堂
1
うーむ、結局全巻通して、待賢門院璋子への断ち切れない思いに苦しむ西行の姿が描かれ続けたということだなぁ。保元の乱も平治の乱も、さらにその後に展開される源平合戦も、ここでは西行が生きた時代に展開されたサイドストーリー。最終的に本当の意味で西行が璋子を弔い、葬りを済ませることでようやく終息。歌人としての希有な才能を持った西行の生涯を綴る物語といえばそうかもしれないが、一人の女性にれんれんと思い焦がれた男の一生を4巻も費やして読まされると、さすがに後半はいささか疲れてくるぞ。2016/09/26
suntalk
1
平治の乱で源氏に打ち勝った平清盛、平家の時代を築くが、その平家も源頼朝によって滅ぼされる。その間に、西行は、崇徳院の死、弟子であり歌の友でもある西住の死、清盛の死を見送る。そして、西行自身もその時を迎える。歌とともに生きた西行の物語の完結。西行の残した歌の数々のどれもが心にしみる。2022/06/03
ほにょこ
1
★★☆☆☆ 最終巻。3巻まではまあまあ楽しめましたが、この巻は駄目でした。著者が出しゃばりすぎで臨場感、没入感が大きく損なわれています。極論を言えば、物語として面白ければ史実なんでどうでもいいんです。2022/05/31




