内容説明
“黒トカゲ”と呼ばれる、社交界の花形で暗黒街の女王である女賊。彼女は日本一のダイヤを手に入れるため、宝石商の娘の誘拐を図る。名探偵明智小五郎との頭脳戦は、いつしか淡く切ないものに様相を変え……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つーこ
54
大掃除の戦利品♪名作読み直し週間。もう1ページ目から、グッと江戸川乱歩の世界に浸れる名作。どこに明智小五郎の罠が仕掛けられてるか、ワクワクしますね。黒蜥蜴夫人もゲームをしているかのように明智とのやりとりを楽しんでいるようにみえて、でもやはりそこは命のやり取りなのだと実感させられるラストでした。2020/04/28
美羽と花雲のハナシ
53
暗黒街の女王。黒天使。黒衣婦人。僕っ子。そして、女賊「黒トカゲ」。腕に黒いトカゲの入れ墨をした麗人。黒トカゲはやがて娘と宝石「エジプトの星」を盗み出すのに成功する。だが、名探偵明智小五郎は彼女を逃がさない。中盤からのスリリングな頭脳戦と変装を駆使した騙し合いが面白い。乱歩自身の作品『人間椅子』を一種のトリックとして本文に登場させるサービスには興奮する。変装も盗みも頭脳戦も誰にも負けない。負けたことがなかったのに。戦利品だけに限らず、女賊の「心」までもが明智に盗まれる。孤高で華やかな彼女の恋は哀切を帯びる。2013/01/29
@
52
頭脳明晰な明智小五郎vs美しい怪盗黒蜥蜴。はじめこそ、二人の頭脳戦が繰り広げられ、あれやこれや一体全体どっちが勝つのか静かに見守っていたわけですが、後半に進み黒蜥蜴の美しくも狂気じみた一面があらわれるにつれて、ついついテンションもはねあがってしまった。幻想的でグロテスク、そこに狂気が混じった独特な世界観。トリックがどうとか事件の経緯なんかよりも、そんな世界観に触れることが、1番の楽しみです。美しい人間の剥製に人間の水中ダンスの鑑賞。悪趣味だと思う反面、心のどこかで見てみたいと思う自分がいるわけです。2015/03/29
芽
52
明智小五郎VS女賊の長編。 女賊の巧みなトリックといい、変装といい驚かされた。 明智も負けず劣らず、立ち向かう姿はとても良かった。2014/10/01
キナコ
44
黒蜥蜴とよばれる女怪盗と明智小五郎との攻防。黒蜥蜴の大胆なトリック、同作者の別作品ででてくるネタを元にしたものもあり、読み始めると一気読み。シャーロックとアドラーのような関係性が特に素敵。短編ではないが、登場人物も限られてくるのでおすすめ。2022/11/16